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お知らせ

マウスピース矯正の痛みの原因と効果的な対処法

マウスピース矯正で痛みを感じる理由とは

「マウスピース矯正は痛くない」と聞いて治療を始めたものの、実際には痛みを感じて戸惑っている方も多いのではないでしょうか。

マウスピース矯正はワイヤー矯正と比較すると確かに痛みは少ないものの、歯を動かす以上、まったく痛みがないわけではありません。歯の移動に伴う痛みや不快感は、治療効果の証でもあるのです。

矯正治療による痛みの主な原因は、歯が移動する際に歯根膜という組織が伸び縮みすることにあります。この歯根膜は、普段は食べ物を噛んだときの衝撃を和らげるクッションの役割をしていますが、矯正中は敏感になっているため、わずかな刺激でも痛みを感じやすくなるのです。

マウスピース矯正で痛みを感じる主な原因は以下の6つです。

1. 歯が移動することによる痛み

マウスピース矯正は、1日20~22時間マウスピースを装着して歯並びを整える治療法です。通常、歯はしっかりとした骨に支えられているため、簡単には動きません。

しかし、継続的に力をかけることで、歯の周りの骨が変形し、徐々に歯が移動し始めます。歯に負荷をかけることで歯並びを整えるので、マウスピースを初めて装着したときや交換したときなど、歯の動き始めは最も痛みを感じやすくなります。

痛みのピークはマウスピース装着後の2~3日といわれていますが、1週間もすれば歯が移動して落ち着くことが多いです。

2. 噛み合わせによる痛み

マウスピース矯正中は、食事などで上下の歯を噛み合わせたときにも痛みを感じることがあります。

矯正治療中は歯根膜が敏感になっているため、噛み合わせることで刺激が加わり、痛みが出る場合があります。特に、硬いものや噛みごたえのあるものを食べると、痛みを感じやすくなるでしょう。

マウスピース矯正特有の痛みの原因

マウスピース矯正には、装置の特性による独特の痛みもあります。

ワイヤー矯正とは異なる痛みの原因について詳しく見ていきましょう。

3. マウスピースの縁があたる痛み

マウスピースの縁が、歯茎や頬にあたって痛みを感じることもあります。

歯茎や頬に長時間あたると、出血や炎症、口内炎の原因になるので、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。マウスピースの縁が当たる痛みは、適切な調整で改善できることがほとんどです。

4. アタッチメントによる痛み

マウスピース矯正は、アタッチメントという白い突起物を直接歯につけることがあります。アタッチメントをつける目的は、マウスピースと歯をしっかり密着させ、より効果的に歯を移動させることです。

アタッチメントは歯に直接つけるものですが、マウスピースをつけているとおおわれるため、ふだん違和感があることは少ないでしょう。しかし、マウスピースを取り外すときに引っかかり、痛みを感じる場合があります。また、食事のときに、アタッチメントのとがっている部分が頬にあたって痛いと感じることがあるかもしれません。

5. 顎間ゴムによる痛み

マウスピース矯正は、より効果的に矯正治療を進めるために、顎間ゴムを装着することがあります。顎間ゴムとは、上下の歯にゴムをつけることで歯を引っ張る力を強め、噛み合わせや顎の位置をコントロールするものです。

マウスピースを装着したときと同じく、顎間ゴムを装着したあとの2~3日は痛みを感じることがあります。しかし、痛いからといって自己判断でやめてしまうと、思った効果が得られません。歯が移動することで徐々に痛みは落ち着きますが、数日たっても痛みが治まらない場合は、歯科医院を受診しましょう。

6. 歯が後戻りすることによる痛み

マウスピースの装着時間が短いことで歯が後戻りした場合、マウスピースを装着したときに痛みを感じることがあります。

マウスピース矯正は、マウスピースを1日20~22時間以上装着しなければ、十分な矯正効果が得られません。矯正治療中の歯は、しばらく力がかからないと、もとの位置に戻ろうとします。

マウスピースの装着時間をしっかり守れば、痛みを感じることなく効果的に矯正治療を進められるでしょう。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の痛みの違い

「矯正治療は痛い」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実際にはマウスピース矯正とワイヤー矯正では痛みの質や程度が異なります。

当院ではマウスピース矯正が痛くて中断した方はいらっしゃいませんが、痛みの感じ方には個人差があります。

インビザラインなどのマウスピース矯正は、数ある歯科矯正の中でも痛みが少ない治療法です。その理由は、一気に歯を動かすのではなく、治療期間内に7日~10日のスパンで何十枚ものマウスピースを交換して徐々に歯を動かすので、一度に大きな矯正力がかからないためです。

実際に患者さまが痛いと感じる際の感想としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 窮屈な感じ
  • 少し圧迫感がある
  • 歯が覆われていて違和感
  • マウスピースが内頬や舌に少し当たる

上記の通り、インビザラインは多少の痛みを伴いますが、我慢できないほどの痛みにつながることはほぼありません。食事の際はマウスピースを外せるので、食事での噛み合わせでかなり強い痛みが生じることもほとんどないのです。

一方、ワイヤー矯正では、段階的に歯を動かすのではなく一気に動かすため、ワイヤーを装着して数日間はかなり強い痛みを伴う人も多いようです。

また、歯が動く痛みだけでなく、食事で噛み合わせをした際に痛みが生じるケースも多く、さらにワイヤー矯正は口内を傷つけるリスクがあるため、「ワイヤーによる口内炎」に悩まされる人も多数います。

結論として、「ワイヤー矯正」よりも「インビザライン」の方が痛みの少ない矯正方法となります。

マウスピース矯正中の痛みの対処法

マウスピース矯正中に痛みを感じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

私の20年以上の矯正治療経験から、効果的な対処法をご紹介します。

1. 痛み止めの服用

痛みを強く感じる場合は、歯科医師に相談した上で痛み止めを内服してみるのも1つの方法です。しかし、長期間常用してしまうと痛み止めの抗炎症成分が骨代謝を阻害し歯が移動しづらくなってしまう場合があります。

矯正治療中におすすめの鎮痛剤は「アセトアミノフェン(カロナール錠、コカールなど)」です。これらは消炎作用がほとんどないため、歯の移動を阻害しにくいという特徴があります。

一方で「イブプロフェン(ロキソニンなど)」の鎮痛薬は抗炎症作用があり、歯の移動を遅らせる可能性があるため注意が必要です。

自己判断での内服ではなく、歯科医師の指示に基づいた内服をおすすめします。

2. 食べ物を柔らかいものにする

前述したとおり、矯正中は歯根膜が敏感になっているため、硬いものや噛み切りにくいものを食べると痛みが増してしまいます。

痛みが強い時にはお粥やゼリー、スープなどなるべく噛まなくても飲み込めるものに変更すると痛みが緩和されます。

おすすめの食べ物は以下のようなものです。

  • おかゆやリゾット
  • スープや味噌汁
  • 豆腐料理
  • 卵料理(茶碗蒸し、オムレツなど)
  • 煮物(柔らかく煮たもの)
  • 麺類(少し長めに茹でたもの)

逆に、フランスパンやステーキなどの硬い食べ物、リンゴやニンジンなどの生の固い野菜は、痛みが強い時期は避けた方が無難です。

3. マウスピースの装着時はリムーバーなどを使用し、ゆっくり優しく

マウスピースは、歯にピッタリと密着しているため、慣れるまでは取り外しが難しいと思われます。そのため、リムーバーと呼ばれるマウスピースを取り外すための器具を使用すると口腔内への刺激が少なくすみます。

着脱時はマウスピースで粘膜を挟み込んでしまったり、爪で粘膜を傷つけてしまうことがあるため、ゆっくり、丁寧に行いましょう。

4. マウスピースは清潔に扱う

矯正器具が清潔であることも、痛みの軽減に役立ちます。マウスピースが汚れていると、細菌が増殖して炎症を引き起こし、痛みの原因となることがあります。

マウスピースを外した際は必ず専用ケースに保管し、装着前には必ず洗浄しましょう。また、定期的に専用の洗浄剤で消毒することもおすすめします。

5. 一つ前のマウスピースに戻す

新しいマウスピースへの交換後に強い痛みを感じる場合、一つ前のマウスピースへ一時的に戻すことも一つの方法です。これは、新しいマウスピースへの早い交換が原因で痛みが発生している可能性があるためです。

痛みがなかった最後のマウスピースをしばらくの間、装着し、正しい歯の移動を促すとよいでしょう。正しい装着時間(1日に20~22時間)を守り、次のマウスピースへ交換する前に痛みがなくなることを確認します。

ただし、この方法を用いると治療期間が長くなる可能性があるので注意が必要です。自己判断ではなく、必ず担当医に相談してください。

マウスピース矯正中に痛みを感じるときの注意点

マウスピース矯正中に痛みを感じた場合、やってはいけないことがあります。

痛みを悪化させないために、以下の点に注意しましょう。

1. マウスピースを長時間外さない

痛みがあるからといって、マウスピースを長時間外すのはやめましょう。

マウスピース矯正は、1日20~22時間の装着が必要です。装着時間が短いと、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こり、再びマウスピースを装着したときに強い痛みを感じることになります。

痛みがあっても、指示された装着時間を守ることが、結果的に痛みを最小限に抑え、治療を効果的に進める方法です。

2. 市販の痛み止めを繰り返し服用しない

痛みがあるからといって、自己判断で市販の痛み止めを繰り返し服用するのは避けましょう。

特に抗炎症作用のある非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、歯の移動を遅らせる可能性があります。痛み止めが必要な場合は、必ず担当医に相談し、適切な薬剤と服用方法を指示してもらいましょう。

3. 刺激を与えない

矯正中の歯は敏感になっているため、不必要な刺激は避けましょう。

硬いものを噛んだり、歯を使ってパッケージを開けたりするなどの行為は、痛みを悪化させる原因となります。また、極端に熱いものや冷たいものも刺激となるため、温度が穏やかな食べ物や飲み物を選ぶとよいでしょう。

マウスピース矯正による痛みは一時的なものです。適切なケアと対処法を知っておけば、快適に矯正治療を続けることができます。痛みが強く続く場合は、我慢せずに担当医に相談することをおすすめします。

まとめ:マウスピース矯正の痛みは一時的なもの

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比較すると痛みは少ないものの、歯を動かす以上、ある程度の痛みや不快感を伴うことは避けられません。しかし、その痛みは歯が正しく動いている証拠でもあります。

痛みの主な原因は、歯の移動、噛み合わせの変化、マウスピースの縁やアタッチメントによる刺激、顎間ゴムの使用、そして装着時間不足による後戻りなどです。

痛みを感じた場合は、適切な鎮痛剤の服用、柔らかい食べ物の選択、リムーバーを使用した丁寧な着脱、マウスピースの清潔な管理、そして場合によっては一つ前のマウスピースに戻すなどの対処法があります。

ただし、マウスピースを長時間外したり、自己判断で痛み止めを繰り返し服用したり、不必要な刺激を与えたりすることは避けましょう。

マウスピース矯正による痛みは一時的なものであり、多くの場合、数日で慣れていきます。もし強い痛みが続く場合は、我慢せずに担当医に相談することが大切です。

当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた丁寧な説明と対応を心がけています。マウスピース矯正をご検討の方、治療中に不安や疑問がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

美しい歯並びと健康的な口腔環境を手に入れるために、私たちがサポートいたします。詳しい情報や無料カウンセリングについては、ノアデンタルクリニックのウェブサイトをご覧ください。

ノアデンタルクリニック院長

渡辺 徹也Watanabe Tetsuya

略歴

  • 2000年朝日大学歯学部卒
  • 2001年朝日大学歯学部歯学研究科(歯周病学専攻)入学
  • 2005年同 修了(歯学博士)
  • 2005年~土田歯科医院に勤務
    朝日大学歯周病学講座 非常勤講師 併任
  • 2009年~土田歯科医院 退職 非常勤に(矯正治療担当)
  • 2009年4月ノアデンタルクリニックを開設
  • 2012年8月ノアデンタルクリニック・ホワイトエッセンスに改名
  • 2014年4月保険医療機関指定を辞退 自費専門医院に
  • 2024年4月医療法人スマイルアークとして法人化

研修

  • 藤本順平先生 補綴・咬合コース 修了
  • 弘岡秀明先生 歯周病コース 修了
  • 堀田康記先生 インプラントコース 修了
  • 石井宏先生 歯内療法コース 修了
  • 高橋登先生 レジン修復コース 修了
  • 三根治先生 歯列矯正コース 修了
  • 尾谷幸治先生 医療面接コース 修了
  • Dowen Birkhed/Peter Lingstrom教授
    むし歯(予防)学コース 修了
  • 秋山勝彦先生 マイクロスコープ歯周病コース 修了

所属学会

  • 日本歯周病学会
  • 日本口腔インプラント学会
  • 日本顕微鏡歯科学会
  • 宮崎インプラント研究会(2005-2008)
  • 愛知インプラントセンター(2007-)
  • 歯科臨床研鑽会 役員
  • Journal Club
  • 株式会社松風 プロダクトアドバイザー

その他

  • 朝日大学歯周病学講座 非常勤講師
  • 日本歯周病学会認定医
  • 日本顕微鏡歯科学会
  • 日本顕微鏡歯科学会認定医
  • 第2種滅菌技士
  • 歯科臨床研鑽会 役員
  • 同マイクロスコープstep-upセミナー講師( ダイレクトボンディング担当)
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