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歯ぎしりがある人の矯正治療|失敗しない5つの注意点と対策
歯ぎしりと矯正治療の関係性〜知っておくべき基礎知識
歯ぎしりは無意識のうちに歯を強くこすり合わせる習慣で、多くの方が抱える悩みです。特に矯正治療を検討されている方にとって、歯ぎしりが治療結果に影響するのではないかという不安は大きいものです。
歯科医師として20年以上の臨床経験から言えることは、歯ぎしりがあっても矯正治療は可能だということ。ただし、適切な対策と注意点を知っておくことが非常に重要です。
歯ぎしりがある状態で矯正治療を行うと、装置の破損やトラブルのリスクが高まります。特に就寝中の無意識の歯ぎしりは、一般的な噛む力の数倍もの強い力が歯にかかるため、矯正装置に大きな負担をかけてしまうのです。
私がこれまで診てきた患者さんの中には、歯ぎしりが原因で矯正装置が頻繁に破損してしまい、治療期間が予定より大幅に延びてしまったケースもありました。
しかし、事前に適切な対策を講じることで、歯ぎしりがある方でも効果的な矯正治療を受けることは十分可能です。今回は歯ぎしりがある方が矯正治療を成功させるための具体的な注意点と対策をご紹介します。

歯ぎしりが矯正治療に与える5つの悪影響
歯ぎしりは矯正治療にどのような影響を与えるのでしょうか。まずは主な5つの悪影響について詳しく見ていきましょう。
1. マウスピースの破損や変形リスク
マウスピース矯正を選択した場合、歯ぎしりによる強い力で装置が破損したり変形したりするリスクがあります。特に睡眠中の無意識の歯ぎしりは、マウスピースに穴が開いたり、薄くなったりする原因となります。
当院でマウスピース矯正を受けていた30代女性の患者さんは、強い歯ぎしりがあり、2週間でマウスピースに穴が開いてしまうことがありました。本来1〜2ヶ月使用するはずのマウスピースが短期間で使えなくなり、追加費用や治療期間の延長につながってしまったのです。
2. 矯正力が予測通りに働かない
歯ぎしりによる過剰な力は、計画された矯正力を妨げる可能性があります。歯科矯正では、適切な強さと方向で歯に力をかけることで徐々に動かしていきますが、歯ぎしりによる予期せぬ力が加わると、歯の移動が予測通りに進まないことがあるのです。
これにより、治療計画の変更や治療期間の延長が必要になることもあります。治療の効率が下がるだけでなく、結果的に患者さんの負担も増えてしまいます。
3. 顎関節への過度な負担
矯正治療中は噛み合わせが変化するため、顎関節に負担がかかりやすい状態です。そこに歯ぎしりが加わると、顎関節症のリスクが高まります。
顎の痛み、口を開けづらい、顎がカクカク音を立てるといった症状が現れることがあります。これらの症状が強く出ると、矯正治療を一時中断せざるを得ないケースもあります。
4. 歯のすり減りや知覚過敏
歯ぎしりが続くと歯の表面がすり減り、象牙質が露出することで知覚過敏を引き起こす可能性があります。矯正治療中は歯が動くことで一時的に敏感になりやすい状態なので、歯ぎしりによるすり減りが加わると、冷たいものや熱いものがしみる症状がより強く現れることがあります。
これは患者さんにとって大きな不快感となるだけでなく、日常生活の質を下げる原因にもなります。
5. 治療後の後戻りリスク増加
矯正治療後も歯ぎしりが続くと、せっかく整えた歯並びが元に戻る「後戻り」のリスクが高まります。歯ぎしりによる力が歯を少しずつ動かし、理想的な位置からずれていくことがあるのです。
矯正治療は時間とコストをかける大きな投資です。その効果を長く維持するためにも、歯ぎしり対策は非常に重要なポイントとなります。
これらの悪影響を理解した上で、次に具体的な対策と注意点を見ていきましょう。
歯ぎしりがある人の矯正治療成功のための5つの注意点
歯ぎしりがあっても矯正治療を成功させるためには、いくつかの重要な注意点があります。私の臨床経験から特に重要な5つのポイントをご紹介します。
1. 矯正方法の適切な選択
歯ぎしりがある方の場合、矯正方法の選択が特に重要です。一般的に、強い歯ぎしりがある方はワイヤー矯正の方がマウスピース矯正よりも適している場合が多いです。
マウスピース矯正は見た目が目立たず取り外しができる利点がありますが、歯ぎしりが強い場合はマウスピースが破損しやすく、治療効果が安定しないことがあります。一方、ワイヤー矯正は歯ぎしりによる破損リスクが比較的低く、計画通りに歯を動かしやすいという利点があります。
ただし、歯ぎしりの程度が軽度であれば、適切な対策を講じることでマウスピース矯正も選択肢となります。矯正治療を始める前に、歯科医師と歯ぎしりの程度について相談し、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。

2. ナイトガードの併用
矯正治療中の歯ぎしり対策として、ナイトガード(マウスピース型の装置)の併用が効果的です。特に就寝中の歯ぎしりから歯や矯正装置を守るために重要な役割を果たします。
ワイヤー矯正の場合は、就寝時にナイトガードを装着することで、歯や装置への負担を軽減できます。マウスピース矯正の場合は、通常のマウスピースよりも厚みのあるタイプを夜間用に作製することも一つの方法です。
当院では歯ぎしりがある矯正患者さんには、個々の症状に合わせたナイトガードを作製しています。硬さや厚みを調整することで、歯ぎしりの力から歯を守りながら、矯正治療を進めることが可能になります。
3. 定期的な経過観察とメンテナンス
歯ぎしりがある方の矯正治療では、通常よりも頻繁な経過観察が重要です。装置の破損や歯の異常な動きを早期に発見し、対応することで、トラブルを最小限に抑えることができます。
特にマウスピース矯正を選択した場合は、マウスピースの状態を定期的にチェックし、必要に応じて調整や交換を行うことが大切です。また、歯のすり減りや知覚過敏の兆候がないかも注意深く観察する必要があります。
私の経験では、歯ぎしりがある患者さんは1〜2ヶ月に一度の定期検診が理想的です。早期発見・早期対応が治療の成功につながります。
4. ストレス管理と生活習慣の改善
歯ぎしりの多くはストレスや生活習慣と関連しています。矯正治療中は特に、ストレス管理と生活習慣の改善に取り組むことが重要です。
リラクゼーション法や適度な運動、十分な睡眠、カフェインやアルコールの摂取制限など、歯ぎしりを軽減するための生活習慣の見直しが効果的です。また、就寝前のリラックスタイムを設けることで、睡眠中の歯ぎしりを軽減できることもあります。
ある患者さんは、就寝前の温かいハーブティーと軽いストレッチを習慣にすることで、歯ぎしりの頻度が減少し、矯正治療もスムーズに進みました。小さな習慣の積み重ねが大きな効果を生むことがあります。
5. 矯正後の保定期間の延長
矯正治療後の「保定期間」は、歯並びを安定させるために非常に重要です。歯ぎしりがある方の場合、通常よりも長めの保定期間を設けることをお勧めします。
保定装置(リテーナー)の装着時間や期間を延長することで、歯ぎしりによる後戻りのリスクを低減できます。場合によっては、夜間用の特殊なリテーナーを作製することも効果的です。
矯正治療は歯並びを整えるだけでなく、その状態を長期間維持することも重要な目標です。特に歯ぎしりがある方は、保定期間の管理に十分な注意を払うことが、治療の長期的な成功につながります。
歯ぎしりがある人に適した矯正方法の選び方
歯ぎしりがある方が矯正治療を検討する際、どのような矯正方法が適しているのでしょうか。それぞれの特徴と適応について詳しく見ていきましょう。
ワイヤー矯正のメリットとデメリット
ワイヤー矯正は、金属製のブラケットとワイヤーを使用して歯を動かす従来からの方法です。歯ぎしりがある方にとっての主なメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット:
- 歯ぎしりによる破損リスクが比較的低い
- 計画通りに確実に歯を動かせる
- 複雑な歯の動きにも対応可能
- 取り外しができないため、装着時間の管理が不要
デメリット:
- 装置が目立つ(セラミックブラケットなどで改善可能)
- 口内炎などの不快感が生じることがある
- 歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクが高まる
- ワイヤーが頬や唇を傷つけることがある
強い歯ぎしりがある方や複雑な歯並びの問題を抱える方には、ワイヤー矯正が適している場合が多いです。特に就寝中の無意識の歯ぎしりが強い方は、マウスピースよりもワイヤー矯正の方が安定した治療効果が期待できます。
マウスピース矯正の可能性と限界
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使用して歯を動かす方法です。歯ぎしりがある方にとっての主な特徴は以下の通りです。
メリット:
- 見た目が目立たない
- 取り外しができるため、食事や歯磨きが容易
- 口内炎などの不快感が少ない
- 定期的な通院の頻度が少なくて済む場合がある
デメリット:
- 歯ぎしりによる破損リスクが高い
- 破損した場合の追加費用が発生する可能性
- 複雑な歯の動きには限界がある
- 装着時間の管理が必要(1日20〜22時間の装着が推奨)
軽度から中等度の歯ぎしりがある方でも、適切な対策を講じることでマウスピース矯正は可能です。例えば、通常よりも厚みのあるマウスピースを使用したり、夜間用の特殊なマウスピースを併用したりする方法があります。
個々の状況に合わせた選択の重要性
矯正方法の選択は、歯ぎしりの程度だけでなく、歯並びの状態、生活スタイル、予算、治療への希望など、様々な要素を考慮して決める必要があります。
例えば、軽度の歯ぎしりで審美性を重視する方には、マウスピース矯正に夜間用のナイトガードを併用する方法が適しているかもしれません。一方、複雑な歯並びの問題と強い歯ぎしりがある方には、ワイヤー矯正が適している可能性が高いです。
大切なのは、歯科医師と十分に相談し、自分の状況に最も適した方法を選ぶことです。当院では、初回のカウンセリングで詳細な検査と丁寧な説明を行い、患者さん一人ひとりに最適な矯正計画を提案しています。
長期的な成功のための継続ケア
矯正治療は歯並びを整えて終わりではなく、その状態を維持することも重要な目標です。特に歯ぎしりがある方は、治療後も継続的なケアが必要です。
治療後の定期検診では、歯のすり減りや歯並びの変化がないかを確認します。また、リテーナー(保定装置)の状態もチェックし、必要に応じて調整や交換を行います。
歯ぎしり対策としてのナイトガードは、矯正治療後も継続して使用することをお勧めします。ナイトガードは歯並びの後戻りを防ぐだけでなく、歯のすり減りや顎関節への負担も軽減します。
長期的な成功のためには、歯科医師と患者さんの協力関係が不可欠です。定期的な検診と適切なホームケアを続けることで、美しい歯並びを長く維持することができます。
まとめ:歯ぎしりがあっても諦めない矯正治療
歯ぎしりがあると矯正治療に様々な影響を与える可能性がありますが、適切な対策を講じることで、理想的な歯並びを手に入れることは十分可能です。
本記事でご紹介した5つの注意点を改めて整理しましょう:
- 矯正方法の適切な選択(歯ぎしりの程度に合わせた方法選び)
- ナイトガードの併用(歯や装置を守るための重要な対策)
- 定期的な経過観察とメンテナンス(早期発見・早期対応)
- ストレス管理と生活習慣の改善(歯ぎしりの根本原因へのアプローチ)
- 矯正後の保定期間の延長(長期的な成功のために)
歯ぎしりと矯正治療の両立は、患者さんと歯科医師の協力があってこそ成功します。治療前のカウンセリングで歯ぎしりについて必ず相談し、適切な治療計画を立てることが大切です。
当院では、歯ぎしりがある方の矯正治療に豊富な経験があり、一人ひとりの状況に合わせた最適な治療計画をご提案しています。まずは無料カウンセリングで、あなたの歯並びの悩みと歯ぎしりの状況についてご相談ください。
美しい歯並びは、自信ある笑顔と健康的な生活につながります。歯ぎしりがあっても、諦めずに矯正治療の一歩を踏み出してみませんか?
詳しい情報や無料カウンセリングのご予約は、ノアデンタルクリニックのウェブサイトをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。あなたの理想の笑顔を実現するお手伝いをさせていただきます。

ノアデンタルクリニック院長
渡辺 徹也Watanabe Tetsuya
略歴
- 2000年朝日大学歯学部卒
- 2001年朝日大学歯学部歯学研究科(歯周病学専攻)入学
- 2005年同 修了(歯学博士)
- 2005年~土田歯科医院に勤務
朝日大学歯周病学講座 非常勤講師 併任 - 2009年~土田歯科医院 退職 非常勤に(矯正治療担当)
- 2009年4月ノアデンタルクリニックを開設
- 2012年8月ノアデンタルクリニック・ホワイトエッセンスに改名
- 2014年4月保険医療機関指定を辞退 自費専門医院に
- 2024年4月医療法人スマイルアークとして法人化
研修
- 藤本順平先生 補綴・咬合コース 修了
- 弘岡秀明先生 歯周病コース 修了
- 堀田康記先生 インプラントコース 修了
- 石井宏先生 歯内療法コース 修了
- 高橋登先生 レジン修復コース 修了
- 三根治先生 歯列矯正コース 修了
- 尾谷幸治先生 医療面接コース 修了
- Dowen Birkhed/Peter Lingstrom教授
むし歯(予防)学コース 修了 - 秋山勝彦先生 マイクロスコープ歯周病コース 修了
所属学会
- 日本歯周病学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顕微鏡歯科学会
- 宮崎インプラント研究会(2005-2008)
- 愛知インプラントセンター(2007-)
- 歯科臨床研鑽会 役員
- Journal Club
- 株式会社松風 プロダクトアドバイザー
その他
- 朝日大学歯周病学講座 非常勤講師
- 日本歯周病学会認定医
- 日本顕微鏡歯科学会
- 日本顕微鏡歯科学会認定医
- 第2種滅菌技士
- 歯科臨床研鑽会 役員
- 同マイクロスコープstep-upセミナー講師( ダイレクトボンディング担当)
