自信を持って笑ってもらいたいですね。
むし歯の原因というのは直接的にはプラークなのですが、それに絡む因子というのが実に色々あります。
唾液やプラーク中の菌というのも一つの要素ですし、フッ素の応用も(大人でも意味はあるのですけど)一つです。
あとむし歯以外にも歯周病や噛み合わせによって歯を失うこともありますから、その全てを警戒しておいた方が良いと思います。
実際拝見していないので何とも言えないところではあるのですが、文中から、
@治療痕は多い(最近も治療している)
A歯磨きは上手
B間食しない
Cフッ素はしてない(歯磨剤では使ってると思いますが)
が確かだとすると、@とCはマイナス要因で、AとBはプラスですね。
今後の予測をする上でインパクトが最も大きいのはおそらくAやBよりも@だと思います。
治療痕が大きい方というのは今後も治療が必要になる確率が高いですし、最近治療している、というのも今後また治療が必要になる確率が高い、ということは言えると思います。
(※治療痕を減らすことは出来ませんが年齢は考慮しているので、今後治療痕が増えずに歳だけ重ねていけば@のインパクトは下がっていきます)
これだけの情報ではわからないことも色々あるので分かる範囲だけでの考察になりますが、@の治療については、質の差による影響はかなりあると思います。
一般的に歯科医院で毎日行われている歯科治療のほとんどは、「過去に行われた治療の再治療」で、その歯にとっての生まれて(生えてきて)初めてのむし歯に遭遇するということは少ないです。(診る先生によっても診断基準に幅があるので、転院した途端にむし歯が増える、ということもしばしばあります)
もちろん同じ歯に何度も治療は繰り返すことが出来ませんので、何度目かで抜歯になってしまいます。
年齢で言えば成人するぐらいまでにむし歯になる歯はすでにむし歯になっている(治療を受けている)状態で、それ以降は同じ歯ばかり何度も何度も治療を繰り返していくことになります。
となると治療の寿命の様な概念も必要になってくるので、それを出来るだけ引き延ばすというための努力というのは有効だと思います。
(下のリンク先は是非読んで見てください)
参考→治療をした歯の寿命
「治療した歯がまたダメになるのは患者の手入れが悪いから」
と言い切る先生も見られますが、手入れの仕方を指導するのも担当医の仕事のうちですし、長持ちするかどうかは治療の質による差も非常に大きいと思います。
要因も沢山あるので、「○○だけしておけば大丈夫」
なんて話も眉唾です。
それが本当なら人類はこんなに歯で悩まない訳で。
日頃マイクロスコープで拡大して見ていると、治療痕に隙間があったり段差があったりして歯磨きが出来ない箇所が出来ていたり、古い治療を外すと中にむし歯の取り残しがあったりというのが日常茶飯事です。
自分は開業して8年、自費にはなりますが自分なりに妥協せずに精密な治療を下手なりにも心がけてきたつもりで、その間の患者数は千数百人とかなり少なめではあるのですが、この間に自分が治療したところにまたむし歯が出来てきた、という経験は片手で数えられるぐらいしか記憶にはありません。
ということはやはり、治療の寿命というのは治療の質でもかなり延ばすことは出来るという実感はあります。
もちろん最初に書いた様に他にも色々な要素があって、それらを出来るだけ丁寧にマイナス要因を取り除いていますので、衛生士も頑張っていますし患者さん自身の日頃の努力も非常に大きいと思います。
とりばーどさんにお伝えしたいのは何も今ある銀歯を全部やり変えましょうとかいう話ではなくて、治療の予後に関して、何とか守っていこうという覚悟を持った歯科医や歯科衛生士を見つけて(今のかかりつけがどうかは分かりません)、一緒に出来ることをしていきましょうということです。
当院でもよくする説明ですが、治療は「悪くなりそうな順」で優先順位をつけておき、予算や時間のついた時に無理のないペースで少しずつ、進めていくのが良いと思います。
その際には、可能な限り長持ちする方法(※材質の差ではないです 材質はそれほど関係ありません)を取った方がいいですし、タイミングの早すぎる治療も遅すぎる治療もどちらもよくありません。
治療のタイミングや悪化の予兆を見逃さないためにも、調子が良くても普段から定期的に歯科にはかかっていた方がいいと思います。
とにかく今までこうなった原因を一つ一つ、きちんと丁寧に潰していけば、何年にも渡ってトラブル知らず、あるいは起きるトラブルを予想して迎えられる、というぐらいには間違いなく出来ると思います。
当院でも開業当初の頃に、全体が悪くて全体を治して、それから5年以上ほとんどトラブルがない、という方も段々と出てきています。
歯科医院選びだけは特に慎重に行った方が良いと思いますが、良いところを見つけて、20歳代から始める予防だったらそれほど難易度は高くはない方だと思いますから、是非良いパートナーを見つけて一緒に頑張っていってください。
参考→チョコが大好き!虫歯の予防方法は?
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