んー・・難しいですね。
一応、一般的な予後に関する研究で言えば、数値的にはメタルインレーもレジンも大体「同等」と捉えて良いかと思います。
ただ実際には個々の患者や歯科医、あるいは個々の歯で判断が変わってくるところなので、こうして意見が分かれるのももっともです。
全然医学的な回答ではないですが、印象の良い方の先生に従ってもいいと思いますよ。
実際には材料の差よりも技術の差で結果が全然変わる訳ですが、理屈の上での話をしますと、インレーは必ず隙間が出来る、というか隙間を作って作らないと歯にはめることが出来ませんし、形もジグソーパズルの如く複雑になるので隙間は出来やすく、気にしない先生も多い様ですが処置の難易度としても実は高いです。
出来た隙間はセメントで埋めることになるのですが、当然それほど丈夫なものではありませんから、使用していくうちにぽろぽろと減って行ったりわずかながら何年もかけて唾液に溶けていく様な現象も起こりますので、そういったことにも本来は配慮が必要です。
それでも実際には、上の方(歯根じゃなくて歯冠、"エナメル質"のところ)に関しては少々隙間があっても簡単にはむし歯になりませんが、外形が歯根に及んでいる場合には10中8,9 そのうちむし歯が出来てきます。
唯一・・なのですがレジンよりも優位な点はメタルそのものがレジンや歯質と較べてはるかに丈夫なので、割れたりするようなことがまずありません。
・・が、割れないということは、極端な力がかかった場合には歯を割ってくることになりますし、あるいは変形して、ひずみが出てもしつこく何年か歯に引っかかっているという様なことも起こるので、5年後以降ぐらいで金属の裏からまたむし歯が見つかるということが頻繁に起こります。
一方、レジンでの治療は、それそのものが接着剤みたいなものですから、理論上隙間はまったくあきません。
硬化時の収縮は確かに起きますが、一般的には5%程度ですので殆ど無視出来るレベルなのですが、気にする先生だと小分けに硬めたり、一括充填用に収縮量を1〜2%程度まで抑えた製品を使ったりします。
というかそんなこと(隙間の問題)よりも接着操作を正確に行えるかどうかと、削ったところからはみ出したり気泡等入れたりしてしまわないか、あと汚れが付着しにくいレベルまでの研磨、という技術的な問題の方がはるかに大きいです。
汚れた面や塗れた面には全くくっつきませんから、神経質にするなら(どんな処置でもそうですが)非常に時間はかかります。
自費専門医院での話になりますが当院の場合だと、奥歯でそこそこ範囲の大きいレジン充填ならラバーダム防湿をして、マイクロスコープはほぼ覗きっぱなしで90分ぐらいかかります。
レジンは色や収縮量、操作性の都合で少なくとも3種類ぐらいを使いますし、使うレジンも歯質強化やむし歯への抵抗性をわずかですがもっている製品を選んでいたりしますが、小さい穴ならラバーダムなしで30分ぐらいの処置でも十分安心出来るレベルの処置は可能です(マイクロは自分の場合必須ですが)
あと強度に関してですが・・強度というと本当は説明がややこしくなるのですが、ざっくりと言えばやはり少し弱い(磨り減ったり割れたり)です。
歯よりは弱いということは、場合によっては良いこととも悪いこととも言えます。
硬ければいいということでもありませんし、出来るだけ歯と同じぐらいか少し弱い様にわざわざ調整がしてあります。
ただこういったことも、その歯のその場所に、どの程度の強さでかみ合わせがくるか次第ですので適していそうか適していなさそうかの判断は非常に難しいですね。
結論としてはどちらでも、その先生の得意な方法で行えば良いかと思いますが、個人的にはインレーは選びません。
ご質問の答えになってないかも知れないので、
>@について
痛みの有無だけが基準にはならないので、状況次第です。
それがむし歯と言えるか、という話と、治療方針(進行を予防していくのかインレーかレジンかクラウンか)は別の次元の話で、それぞれ先生ごとでも話が違ってくることが日常的に起こっています。
出来れば担当医は、ころころ変わらない方が安心なのではないかと思います。
>Aについて
むし歯の原因は色々なのですが、レジンは英語でdirect bondingと呼ぶぐらいで正しく使えば隙間自体が存在しません。
レジンの周りからむし歯が出来てくることはありますが それは日頃のお手入れの問題もあり得ますし、あとは隙間を作ってしまった、形態不良からプラークコントロールの邪魔をした、研磨不足でプラークを溜め込んだ、あるいは取り残し など・・とにかく材料以外の問題です。
>Bについて
ケースバイケースです。
奥歯だからどちらかが良い、ということにはなりません。
>レジンを詰めたのは数年前ですが、今の所、何の問題もなく使えている気がするのですが・・・。
日本は保険制度上どうしても、患者が問題があると感じてから医療機関を受診して(そうでないと保険が使えない)、診断と治療を受けるという流れになっていますが、その歯や臓器に問題があるのかないのか、治療や予防が必要かどうかの判断は普通ご自身では出来ません・・という知識が大切なのではないかな、と個人的には思います。
そして問題のあるなしの判断も歯科医、医師には能力差がかなりあるというのも現実だと思います。
どうか信頼出来るかかりつけの医院を見つけて、定期的なチェックや予防処置を習慣にして下さいね。
長々と失礼致しました。
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