>ベストなのはこの場でお知恵をお借りして担当医と協力し今後も良好な関係で主治医として一生
私の面倒を見てもらえることです。
なるほどそういったご事情なのですね。
通常、ここまでマニアックに患者さんが調べるのはデメリットが多い気がするので個人的にはお勧めしたくないのですが、そういうご事情でしたら自分なりに推察してみます。
実はこのあたりの話を最近国内の全てのメーカー開発者と一緒に勉強会をしたところで、自分がコア担当でしたのでその経験と、エビデンスとは言えなくても「雰囲気」の様なものもありましたので、その辺り踏まえて考えてみますね。
まず、ファイバーコアが外れる要因は通常3パターンぐらいで、
@歯面との接着不良
A着脱時の破断
B咬合力による破損
C歯根破折
だと思います。
見事にアルト姫さんの想像通りで脱帽です。
@については、操作そのものを側で見ていないとコメントのしようがありません。。
一応、マニュアル通りのことを行えば必要十分な接着強さは得られるようになっています。
開発者いわく、「接着の話はもう飽きた」というレベルまで来ていますので、製品そのものの問題はまずありません。
ただしテクニカルなエラーは山程考えられますので、ざっとでも
・接着剤(プライマー・ボンディング剤)の保管状態の不良
・歯面清掃不良
・接着剤操作不良
・光の到達不良
・ファイバーポスト側の前処理(清掃やシラン処理)の不良
など
あとたぶん、「光硬化性レジン」と書かれていますが、たぶんデュアルキュアタイプ(光重合+化学重合)ではないかと想像します。
(個人的には光硬化性のものが好きですが、ややマニアックなので)
で、光硬化性レジンであれば光の到達性の話には詳しく触れたいところなのですがデュアルキュアと仮定すればそれほど重要ではなくなるので、あとは際立って可能性の高いのは考えにくいと思います。
前処理でEDTAというのはたぶん必要ないと思います(使い方によっては接着力低下の可能性もありですがたぶん問題にはならない程度)が、プライマーの操作はかなり繊細さが必要です。
が、これもそこまで問題になるかと言うとどうなのか・・微妙なところです。
製品によるので一概には言えませんが、
@清掃(削ったばかりなら念入りな水洗ぐらいで良さそう EDTA使う場合は短時間で使用して念入りに水洗)
Aプライマー処理(おそらくマイルドエッチ+プライマー+ボンディングが一緒になったワンステップの製品だと思います)は、数秒ではなく、マニュアル通り(20秒とか)の時間、アジテーション(こすらない程度の力で塗り足していく・・のが良いのですが、製品によっては塗布後放置を指示するものもありますし、色々)、エアー乾燥(当初は弱い力で、その後強い力)(根管内だとうまく出来ないため、ペーパーポイントを使って余剰を吸うとか、スプレー缶の様なものを使って細い尖端からエアーを吹きかける方法もあります)
B光照射(デュアルキュアならそれほどシビアにならなくて良いかも知れませんが、通常術者が想像している程の光は届いていないため、短距離、長時間を心がける)
・・とここまで書いて致命的なミスが思い浮かびました。
異なるセットのプライマーを使用していると接着力が全然駄目になる場合があります。
例えばA社のデュアルキュアタイプのコア剤なのに、普段むし歯治療で使っているB社の光重合用のプライマーなど、使用される先生がいらっしゃいますが、この場合は接着力が極端に低下する危険がありますね。
ただ書いておいてなんですが、こういうことを患者さんがチェックするというのもどうかと正直思いますし、実際無理だと思いますので、お勧めとしては、今度はファイバーコアなりメタルコアでもいいと思いますが、それを間接法(型採りをして技工所で作って貰う方法)で作ってもらって、スーパーボンド等の化学重合型レジンセメントで装着するのが断然無難だと思いますよ。
それがどうしても無理だったらコア剤ときちんとセットのプライマーを使用されているかそれとなくお聞きしてみる・・ぐらいではないでしょうか。
長くなりそうですが続いてAの可能性についてです。
これは実際多いと思いますが、完全にテクニカルなことですし、経験で上手くなっていくしかありません・・
それとこの場合、数カ月後ではなくその時点で折れる等して分かることだと思いますから、今回は関係なさそうな感じがします。
(ポストが入っているので中途半端な折れ方という可能性は否定出来ませんが・・)
Bはフェルールを確認すると良いと思います。
フェルールは歯肉の外に出てる部分の高さと厚みを見るのですが、高さを確保するためには厚みもそれなりに必要になりますから、例えば「薄いものの長さは足りている」、という状態なら歯肉の中の歯根部分については厚みは十分、ということになります。
歯根が「薄いものの長さは足りている」という状況ならフェルール不足は考えられますが、これもあまり決定的な理由とは考えにくいですね。
少なくとも、ポストごとスポッと抜けてくるというよりは歯頸部で折れる状況が可能性の方が高いと思います。
あとCの歯根破折ですが、これについては100%の否定はどうやっても出来ません。
歯根破折の場合もやはりポストごとスポッと抜けてくる可能性が高いのですが、たぶん・・ないとは思います。
長々考えながら書いて見ましたが、
「入れてから数カ月でスポッと抜けました。」
というヒントから考えると、@の歯面との接着の問題が可能性としては一番高いかなと思います。
だと仮定すればアルト姫さんに取れる対応としては先ほども書いたように、
@ファイバーコアを間接法で作って貰う。
A無理ならコア剤ときちんとセットのプライマーを使用されているかそれとなくお聞きしてみる
あたりではないでしょうか。
見当違いなことを書いていたらすみません。
お大事にどうぞ。
|