こんばんは。
13年前と言うと、ハイブリッドセラミックってありましたっけ・・あったとしても初期の、今のものと較べればお粗末な物性だったのではないかと思います。
とは言え、今でも白い材料の中では耐久性が非常に悪い材料だと個人的には思っていますから、今回は候補には入れない方がいいと思います。
基本的に、こういったご質問の場合のお決まりの返答として「担当の先生のお勧め、自信のあるものが一番」ということになるので、今回の場合はオールセラミックで良さそうに思うのですが。。
一応一般論として少しコメントしておきますが、
「オールセラミック」と一口に言っても作り方や材料、物性が色々ありますので、他の物との比較は先生が使用されているものがどの様なものか次第だと思います。
因みに当院でもここ最近のイチオシは断然オールセラミック(の中のe.max pressという物)です。
参考→ジルコニア冠は対合歯に負担がかかり、e-maxは元の歯の色が透ける?
「メタルボンド」の場合も使用金属が違ったり陶材が色々違ったりはするのですが、大きな違いは少ないと思います。
簡単に言えば硬くて脆い(割れやすい)物性を持っているので、噛み合わせの強い方の奥歯には好まれないことが多いですが、上手な先生と技工士さんが丁寧に作りこんでいけば実用上さほど問題はないレベルだと思います。
「ジルコニア」は、ジルコニアの物性をもって硬すぎるなどの誤解をされることが多いのですけど、一般的にはメタルボンドのメタルの部分をジルコニアで代用したもののことを指すことが多いですから、その場合の特性は上に書いたメタルボンドと同じですよ。
俗称で、メタルボンドならぬ「ジルコボンド」という呼び方もあるのですが、主な違いは物性のことよりも審美性の方ですね。
あと最近になって、ジルコニアフレーム+陶材という従来の2層構造(※メタルボンドと同じ)ではなく、フルジルコニアの、1層構造のものも出てきています。
こちらの場合の技工所側の言うメリットは「安上がり」なので、今回の場合他の物と値段が同じということですから違うとは思いますが・・ 個人的にはこちらはまだ様子見していた方がいいかな?と考えています。
ジルコニアの特性上、あまり綺麗には作りこめないという欠点もあるのですが、それよりもこれは表面までがジルコニアのため、本当に「硬すぎる」のです。
「問題ない」という主張もあるので何とも言えないのですけど、人間の歯は通常加齢とともにすり減っていくものですから、数本だけが「まったくすり減らない」という現象が起きるとどうなっていくのか・・おそらく問題が起きるだろうと個人的には考えています。
以上が素材の話で、あと細かいところなのですけど「高額商品の為・・」と言う表現をされていますよね。
確かにそうなのですけど、歯科で扱うクラウンというのは一本一本がフルオーダーメイドです。
素材の違いよりも製作者(歯科医師+技工士)の違いによる差の方が圧倒的に大きいですよ。
クラウンの材料原価なんて10%もないぐらいで、技工士さんに支払う技工料もその数倍ぐらいではないかと思います。
(おそらく料理などとかなり似てるのではないかと思います)
つまり患者さんがクラウンという商品(?)に支払う費用のほとんど大半は技術料と言って差し障りがないと思いますので、素材の違いにこだわるよりも先生の違いや得意不得意に注目された方がはるかに良いのではないでしょうか。
失敗したくない気持ちが強ければこそ、ネットで第三者に相談するよりも主治医の先生とのコミュニケーションを十分に取った方が得策なのではないかと・・いうのが感想です。
お大事にして下さい。
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