こんばんは。
神経を抜く・抜かないの臨床的判断基準については、あまりこれと言えるものがありません。
ですので以下完全に個人的な見解ですので、不快に感じる先生もおられるかも知れませんが、ご参考までに。
まず、私自身は生きている神経をいきなり抜く様な処置をここ何年もの間、ほとんどしていません。
経験上十分な時間(≒費用)を頂いた上でマイクロスコープを使用して、慎重に進めることが出来れば一般に思われているよりずっとはるかに神経は救えると思います。
1回でむし歯を削る量を100μm未満ぐらいの単位まで絞ることが出来ると、多くの場合で神経が露出するまで削らなくて済みます。
これは肉眼では出来ない単位だと思いますが、マイクロスコープを使い慣れている先生にとっては余裕で出来る作業だと思います。
いったん神経が露出してしまえば神経を保存することについては議論も残るかと思われますが、必要十分削った上で露出さえさせずに済めば、まず特別な材料など何も使わなくても神経の保存は試して良いと思います。(※教科書的な基準ではありません)
(神経が生きているのに)自覚症状も出ていない様なケースはほとんどが神経は露出しませんので、この時点でおそらくはまず大丈夫だろうと自分の場合は思います。
ただ痛みの感じ方も個人差が大きいですし、いくら慎重に行ってもむし歯の大きさ次第では神経が出てしまう場合はあります。
私の場合はそのときに2パターンの対処法を考えるのですが、敢えてむし歯を皮一枚残す方法と、神経は最後の最後に最低限度露出させた上で「MTAセメント」という、ドックスなんとかや3−なんとかと違って十分な基礎研究のされている生体親和材料を使って保存を試みる方法とを考えます。
なんとなく使い分けがあるのですが、まだ経過が十分おえている状況ではないです。
ただ神経が露出したものを保存した例では、やはりしばらく痛みが続く場合や後に神経が死んでしまうケースを数例(全体のおそらく数パーセント)経験していますので、まず一番大切なことは、
「不用意に神経を露出させないで済む様に削ること」
だと思います。
逆に言えば、削る前から神経抜くよと宣言出来るケースは自分の中ではほぼないですね。
つまり、マイクロスコープを使い込んでいる先生がいい(歯科医全体のおそらく数パーセント??)と思いますし、なおかつ時間も十分に確保が出来る自由診療の方がいいと思います。
自費か保険かは経営の仕方にもよりますが、マイクロスコープを使わずによく分からない自費材料を使う方法も考え方のひとつだとは思います。
時間の確保はしやすくなりますしね。
以上、かなり偏見に満ちた個人的見解ですので、あくまで参考程度とされて下さい。
お大事にどうぞ。
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