おはようございます。
鋭いご意見ですね〜。
まず、現実的な理想としては、書かれている通り、
「縁上マージン」かつ「エナメル質上マージン」
と言うことになるかと思います。
(インレーの場合がこれに近く、エナメル質の範囲内に限っては問題が発生することが精度の割に非常に少ない)
ただ実際には、特に近遠心面ではエナメル質上にマージン設定するのが歯根間距離の問題から難しかったり、チッピングの問題からエナメル質上マージンと根面マージンの混在を不安視する見方もあったりで、そうシンプルな話でもありません。
あと基本的な考えとして、「縁下マージンで設定しても近い将来縁上に出てしまうケースが多いので、最初だけ縁下か最初から縁上かの違い」で比較するのが分かりやすいかも知れません。
(歯肉の厚みのある部位だと歯肉は下がりにくいのですが、その変わりにプラークが縁下に停滞して腫れた状態が続くので、それも良くないとして・・)
(最初)縁下マージンの問題点は、
・正確な型採りが難しい
・根面の形態が型になかなか含まれないため、被せものの立ち上がりの形態を完全に自然な形態に作ることが極めて難しい(殆どの場合で膨らみすぎる)
・出来上がった被せものが、実際の歯質とマージンでフィットしているのかチェックすることが極めて困難
・セメンティングする際に、乾燥状態を維持することが困難
・セメントが硬化した後に、それを綺麗に除去することが困難
などが挙げられるため、どうせそのうち縁上に出るのだとしたら、最初から縁上の方が「ベター」と見ることは出来るのかなと思います。
あと列挙した内容をよく見て頂ければ、実は縁下でも、
・マージンフィットを最高に仕上げ、
・被せものの縁下の部分の形態を最高に(天然歯と同じか、マージンはフィットさせた上でその後一瞬むしろ細く)仕上げ、
・セメンティング、セメント除去を最高に仕上げ、
・(出来れば)被せものの素材を歯質よりもプラークの停滞しやすいメタルやレジン系ではなくセラミック(オールセラミック)で作る
・・ことがもしも可能だったら、おそらくプラークが停滞したり歯肉が下がってくる様なリスクは相当少ないですし、縁下の環境では通常カリエスを作ること自体がまずないですから、「本当の理想」というのはこういうことになるのかと思います。
ただこれは言うのは簡単でかなり難度が高く細かい話しなのですが、マイクロスコープを注意深く日常的に使っているドクターだとたぶん同意して頂けるのではないかと思いますよ。
実際非常に割合は少ないですが、こういうレベルで診療されている先生もおられますが、「例外的」と言っていいと思います。
あと酸蝕症に関してはご指摘の通りで縁下にしておいた方が安全なのですが、普通の人では問題にならない現象ですし、「そこそこの被せもの+縁下マージン+そこそこのプラークコントロール」だと高確率で歯肉炎にはなりますから、これを天秤にかけて、例えば酸蝕症のリスクの高い患者さんには歯肉炎は許して敢えて縁下マージンに、なんて選択はありますよね。
もちろん無条件で縁下マージンの方がいいでしょうという意見も少なくない(というか教科書的にはたぶんこちら)と思いますし、十分な数で信頼出来る比較試験というものがなかったと思いますから、正解は分かりません。
あくまでも「個人的見解」という様にご理解下さい。
それと実際にはどちらも好きに選択出来るというケースもそう多くはありませんしね。
とりわけ全周エナメル質上マージンが可能だったら、(ブリッジの場合を除いて)レジン充填でもいいはずですし。。
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