岐阜市の歯科医院/歯医者 ノアデンタルクリニック

ノアデンタルクリニック・ホワイトエッセンス

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抜髄した歯は、やはり破折しやすいのでしょうか?
雅史 さん 男性  46歳
2011-10-03 03:02:54
参考:過去のご相談
歯根が歯折したらすぐに痛くなりますか?
他多数



何回となく質問にあがっているテーマかと思いますが、歯チャン回答者陣のご見解としては、

抜髄した歯も、生活歯も、破折のしやすさは変わらない」

だったと認識しています。
(私が質問させて頂いた時も
同様の趣旨の回答を頂いたと記憶しています)


先日とある歯医者さんのHPを読んでいると、抜髄した歯は生活歯より、破折しやすいとの見解が書いてあり、ペーパのリファレンスもあったため信頼性も高いのかと思い興味深く読んでました。


量が膨大だったため抜粋して書きます。

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@Are endodontically treated teeth more brittle? J Endod. 1992 Jul;18(7):332-5.Sedgley CM, Messer HH.
によれば、生活歯と根管治療歯との間では、穴あけ剪断強さ・硬さ・破折に必要な負荷に有意差はなかった。この結果は、歯内療法が原因で歯は脆くならない事を示唆している。
つまり『歯は、神経を取ったからといって脆くはならない』


AMoisture content of vital vs endodontically treated teeth. Papa J, Cain C, Messer HH. Endod Dent Traumatol. 1994 Apr;10(2):91-3.

によれば、生活歯と神経を取った歯の含水率には有意差はないとしている。
枯れ木になりますって誰が言ったんだろう?!

⇒「抜髄した歯も、生活歯も、破折のしやすさは変わらない」のかな?

しかし


BOn cantilever loading of vital and non-vital teeth. An experimental clinical study. Randow K, Glantz PO. Acta Odontol Scand. 1986 Oct;44(5):271-7.

によれば根管治療した歯は生活歯に比べて痛みを感じる負荷のレベルは2倍以上であった。
この結果は、生活歯と神経を取った歯では歯根膜(歯にかかる圧を感じる繊維)に何らかの器質的な変化があることを示している。

つまり『神経を取った歯に関しては、咬みすぎることがあるので、負荷がかかりやすくそれが割れることにつながる可能性がある』



CResistance to fracture of restored endodontically treated teeth. M. Trope et al EDT 1985

によれば、ポスト形成をしただけで、元の歯牙よりも半分以上も破折抵抗性が落ちている。
つまり、神経を取ると歯が脆くなるといわれていたが、実はそうではなく、根管治療後にピーソーリーマーなどの回転切削器具などでポストホールを形成していたことが問題だったのである。

⇒抜髄 及び それに伴うポスト形成措置 により「抜髄した歯は生活歯より、破折しやすい」?

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先生方の、ご意見お伺いしたく。
ノア デンタルクリニック・ホワイトエッセンス(岐阜市)の渡辺です。

おはようございます。

引用文献ほぼ一緒ですね↓

参考→神経のない歯は神経のある歯よりも脆い?(4番インレー素材の悩み)

とんちみたいな話ですが・・

歯質」は文献の通り、脆くはならないです。
枯れ木の様にはなりません。


ですが「破折」は多いですよ。
割れる歯のほとんど無髄歯なのは飯田先生もおっしゃる通りですね。
田尾先生のご指摘通り、歯質自体は脆くはなくても、薄い、だとか力のかかり方に無理があるとかすると実際には割れてしまいます。

ですから割れるのは歯髄を抜いたかどうかよりも、歯質の残存量やその後の処置方法の方が影響が大きいというのが実際のところかと思います。


例えば上記リンク先で話題になった様に、同じ無髄歯でも抜髄後単独でレジンで詰めるだけの処置にしておいたとしたら、かつて歯髄のあった空洞は色付きのボンドで埋めている様なものですし、噛み合わせの面にくるレジンも歯質よりもどちらかと言うと軟らかいので、レジンがすり減ったりかけたりはするかも知れませんが歯根が割れる事はまずないと考えられます。

ですが同じ無髄歯単独処置でも、歯と接着しないメタルコア+メタルポストを歯髄腔に刺して、歯よりも硬いメタル or セラミックの冠が被されば歯根破折のリスクは高まることが想像出来ます。

(因みに天然歯質は患者さんが想像しているよりも遥かに、年々すり減っていくものですから、冠が歯質よりも硬いだけでも相当なリスクとなります)



上記の条件の違いだと実際の差はわずかだと思われますが、長期予後を見た研究では、神経のある歯を支台にしたブリッジと無髄歯を支台としたブリッジでは10%程度(うろ覚えですが・・)は差が開いていいたと思います。
もちろん有髄歯の方が良い結果です。



ということで、無髄歯は枯れ木の様にはなりませんが、結果としてよく割れているのは間違いのない事実です。
2011-09-22 07:40:39

この相談の詳細情報
このページは歯チャンネル提供のリンク機能を使用して、原文より一部抜粋したものです。
全ての質問文と回答を見る際は、原文をお読みください。
原文を見る 抜髄した歯は、やはり破折しやすいのでしょうか?
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