岐阜市の歯科医院/歯医者 ノアデンタルクリニック

ノアデンタルクリニック・ホワイトエッセンス

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素人ですが、自分なりに接着ブリッジの長所をまとめてみました
おかか さん 女性  42歳
2008-11-10 21:27:31
田尾先生、いつも素晴らしいご回答を有り難うございます。

先日、接着ブリッジについての御相談がありましたので、手元の資料をまとめてみました。

接着ブリッジは、外れやすいという点が歯科医師の先生方、患者様双方に好まれにくいようですが、タカタ先生のお父様のような名手が、症例を選んで施術されますと、20年もの長期使用に耐えうる場合もあるようです。

外れやすい点は確かに問題かもしれませんが、を削る量が従来型のブリッジに比べれば非常に少なく、抜髄もしないで済むなどの長所もあります。

今回、投稿させていただくに当たって、少し調べておりましたところ、ある歯科医院のホームページに、接着ブリッジは天然歯を80%以上切削して金属を被せてしまう、非常に侵襲度の高いブリッジであるという御紹介がございましたので、大変恐縮ですが、新しく投稿させていただき、この点の誤解を解消させていただきたいと存じます。



少し、長くなるかもしれませんが、田尾先生がご開業なさるときのお役に立てましたら幸いです。



まず、先日の御相談時に投稿させていただいた文案を引用させていただき、明日以降、少しづつ、資料を書き足して参りますので、よろしくお願い申し上げます



1 先日の御相談に対する助言


私は一般人ですので、具体的な歯科処置についてはお話出来ませんが、お問い合わせの接着ブリッジについて、少しだけ聞き知っておりますので、御参考になれば幸いです。


接着ブリッジとは、接着性レジンを用いて、金属製のブリッジや人工歯、或は、抜いた自分の歯をそのまま利用するなどして、両側の支台歯に接着させて修復する術式をいいますが、メリットは、支台歯(欠損の両側の歯のことです)をまったく、あるいは、ほとんど削らないて済むという点にあるとされています。

(ただ、その後の接着ブリッジの発展を拝見いたしますと、全く削らずに、というのはかなり維持が困難なので、多少は削って、だが、従来のブリッジよりははるかに少なく、に変更になってきているように思います)


この術式は、1980年代初頭にはかなり行われていましたが、義歯を接着剤の力によって維持することになりますので、外れやすいという欠点があり、また、歯周病などで、歯が動揺しているケースをこの術式で行うことは非常に困難なため、最終補綴(やり直さないことが最も望ましい)を求める歯科医師、患者双方のニーズとの絡みで、当初の予想ほどは一般化せず、インプラントに取って代わられつつある感があるようです。

ただ、この術式に習熟された歯科医師が、症例を選んで施術され、これが成功しますと、一言で申し上げて、非常にいいもののように聞いております。



接着ブリッジの臨床成績ですが、前歯臼歯いずれのケースでも、臨床応用初期には、多くの脱落の報告があったそうですが、その後、デザイン、表面処理方法などが改良されて、脱落例が激減したと言われております。

1991年の信頼すべき臨床報告によりますと、

平均観察期間2、3年で、脱落率は10〜20%
5年を超える症例では半数を超える脱落率
前歯の脱落率が高いが、接着面積が広く、なんらかの保持形態を補助的に有する症例の脱落率は極めて少ない

とされております。


前歯についての1987年の臨床報告を拝読いたしますと、

タイプA1の接着面積38平方ミリメートルの最小レベルの接着面積の施術は6例中5例が1年以内に脱落してしまっていますが、タイプA5の接着面積160平方ミリメートルの最大レベルの接着面積の施術例になりますと31例中4年以内の脱落例が0になっております。

(接着面積の単位がこれであっているのか分かりませんが、資料ではこうなっています)

上記の症例報告を考慮いたしますと、もし、接着ブリッジでの修復をご希望になる場合には、取れても構わないのであれば、接着面積の少ないものを作っていただき、落ちてはつけ、落ちてはつけを繰り返すことを許容して、隣在歯の切削を最小限度に抑えるリテーナーデザイン(支台装置の設計という意味らしいです)を、工夫し、十分な強度設計をするため、隣在面の切削を十分に行って、脱落率を激減させるか、いずれかの方向で施術していただくことになろうかと思います。



ただ、この術式は、歯科医師の先生であれば、どなたでもが習熟されているというほどには一般化しているわけではないようですので、やって下さる先生をお捜ししてお願いすることが必要になると思います。

それで、先生の捜し方ですが、相談者様がどちらにお住まいか分かりませんので、とりあえずは、「接着歯学会」にアクセスして学会の方にお伺いするか、学会が公表されている認定医の先生をお捜しになり、お問い合わせなどをなさるのが一番の早道かもしれません。

関西方面でしたら、大阪大学にこの術式に詳しく、推奨されている先生がいらっしゃるように聞いております。
また、東京でしたら、捜せば更に多くの先生がおられるでしょう。


なお、前歯で欠損が一本の場合の接着ブリッジは、この4月から保険適応になっているようです。

保険適応になったということは、国が、その術式の効用についてお墨付きを下さったということですので、恐らく、前歯に関しては、脱落率も改善されてきているし、今後広く普及させてよかろうという最高レベルのご判断が下されたものと思われます。


いろいろとお辛いのではないかと思いますが、様々な歯科処置が沢山の歯科医師の先生方により考案されておりますので、しっかりと検討され、今の状態ならこれがベストとご納得できる修復がかないますことを、お祈り申し上げております。

ノア デンタルクリニック・ホワイトエッセンス(岐阜市)の渡辺です。

↑もう一票入れておきます。

おかかさんが利点・欠点を把握して希望されるならそれはもう全く問題ありません。
大丈夫です。



ただもしも自分が自分の患者さんに対して、欠損補綴の選択肢として持てるかと言うと、やはり「仮歯扱い」が限度かと思いますね。

実際の臨床では、両隣に接着させておいて、ご本人の知らないうちに片側だけ外れてくることがかなり頻繁にあります。

仮歯と言ってあったとしてもを削らずに済んだこと、安価に済んだこと、自覚としては調子がいいことなどで、そのまま何年も来院が途絶え、元接着面に悲惨な虫歯が出来ているのを何度も目にしています。



また臨床データも、うまくいっているものだけ集めればデータは良くなります。

良いデータを出したければ良く出来ますし、良いデータを見せたい人は良いデータだけ集めてきます。

実際にはそこら辺を自分の実際の臨床に当てはめながら、各論文をよく吟味して判断しなければいけません。

タカタ先生にもよく怒られますが、これも判断をややこしくさせる一因ですよねー。
2008-10-07 00:45:31

この相談の詳細情報
このページは歯チャンネル提供のリンク機能を使用して、原文より一部抜粋したものです。
全ての質問文と回答を見る際は、原文をお読みください。
原文を見る 素人ですが、自分なりに接着ブリッジの長所をまとめてみました
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