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ヘミセクションの予後、成功率 |
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だーさん さん |
男性 |
38歳 |
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2008-02-28 09:19:37 |
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こんにちは。
一度質問させていただき、多くの回答をいただいたのですが、私の認識誤りがあり、再度質問させていただきます。
【前回の質問】
下6番ヘミセクション後、5?7のブリッジ種類(素材)について
下6番近心根ヘミセクション後、当初?6??のブリッジと思っていたのですが、?6?でのブリッジでした。
また、ブリッジの素材として、ハイブリッドセラミックを希望したところ、金額が67,200円/1本で、メタルボンド(71,400円)と大差ないため、メタルボンドの方がいいですよとの事でした。
ただ、歯軋りがあるため、硬過ぎないハイブリッドセラミックの方がいいのでは?との問いには、「・・・」で回答がありませんでした。
そこで質問ですが、
? 6番近心根ヘミセクション後のブリッジとして、?6?が一般的なのでしょうか?(?の予後が悪そうなのですが・・・)
? 保険外とはいえ、メタルボンドに比べハイブリッドセラミックが高い気がするのですが?
? 見本のメタルボンドの中の金属が黒っぽかったので、金属が金のものはないのか尋ねたところ、「ありませんよ」との回答でした。
金属の色が黒いということは、金パラかニッケルクロム合金なのでしょうか?
(金合金や白金加金は何色?)
メタルボンドの金額は判明していたので、ハイブリッドセラミックは40,000円程度と想定し、ハイブリッドセラミックに決めていたのですが、全てメタルボンドにすると250,000円になるので、保険のブリッジにしようかとも思っています。
(?6?だと予後が悪そうでブリッジを壊す時期が早いような気がしています)
6?が保険で?番のみメタルボンドでは170,000円ですが、?番だけのために170,000円は高いと感じてしまいます・・・。 |
こんにちは。
えーと、前回のとあわせてスレッドが長くなり・・ちょっと把握しきれてないかも知れませんが・・
ヘミセクションの予後についてだけ書きますね。
(ややこしいですよ・・)
実は文献的には結構良いです。
ヘミセクションは普通根分岐部病変のある奥歯に対して行うことが多いのですが、それに対して消極的な治療(歯石取り+適確なメインテナンス)を行った場合と、積極的にヘミセクションを行った場合とで較べて、大体遜色ない様です。
Periodontal treatment decisions for molars:
an analysis of influencing factors and long-term outcome.
Svärdström G, Wennström JL.
J Periodontol. 2000 Apr;71(4):579-85.
(10年後の成功率 消極的な方法→96.2% ヘミセクション→89%)
あるいはインプラントの成功率と比較してもまあまあ、費用が安上がりな点なども考慮すれば遜色はないそうです。
Survival rates of hemisected teeth: an attempt to compare them with survival rates of alloplastic implants.
Bühler H.
Int J Periodontics Restorative Dent. 1994 Dec;14(6):536-43.
⇒論文はこちら
(過去の4つの研究からデータを整理 7年後の成功率 ヘミセクション→86.9%)
個人個人で状況が違いますから一概に言うのは難しいのですが、トラブルが多いのは上顎よりも下顎、術後数年以内よりも5年目以降、起きやすいトラブルは歯周病ではなくて歯根破折。それと虫歯や根尖病変です。
An evaluation of root resections. A ten-year study.
Langer B, Stein SD, Wagenberg B.
J Periodontol. 1981 Dec;52(12):719-22.
⇒論文はこちら
(※↑この論文では10年後の成功率が62%)
別の論文では10年後の成功率が68%だったり・・
Prognosis and mortality of root-resected molars.
Blomlöf L, Jansson L, Appelgren R, Ehnevid H, Lindskog S.
Int J Periodontics Restorative Dent. 1997 Apr;17(2):190-201.
⇒論文はこちら
で、これらを見ていくとデータのバラツキが大きいのに気付かれると思うのですが、実際かなりあります。
中でも平均値を跳ね上げてるCarneveleと言う先生がいらっしゃるのですが、こちらのデータでは10年後でなんと93%。
これだったら本当にインプラントに負けてない結果と言えます。
Long-term effects of root-resective therapy in furcation-involved molars. A 10-year longitudinal study.
Carnevale G, Pontoriero R, di Febo G.
J Clin Periodontol. 1998 Mar;25(3):209-14.
ところがですね、まずこれらのデータは最低限、患者さんは外国人(あたりまえ??)、術者は歯周専門医ですし、同じ歯科処置をするのに私達日本人歯科医師の20倍ぐらいはチャージを得ています。
時間ももちろん何時間もかけて。
患者さんは術後定期的に、レベルの高い衛生士によるメインテナンスをキチッと受け、歯磨きは(おそらく)完璧。
日本みたいな銀歯は外国にはないですから(汚れのたまりにくい)セラミッククラウンでしょう。
特に最後に引用したDr. Carnevaleは、それまでのデータから歯根破折や虫歯が多くなると分かっていたので、メタルコアは使わない様にして、最終的なクラウンを作るまでに数回の歯周外科、仮歯も何度か作り変え、期間も相当長くかけていたという話です。
それと歯根破折が多いですから、最後方歯のブリッジの支台として使用するのは確か禁忌と言っても良かったと思います。
(※だーさんさんはまだ後ろに7番がありましたよね?)
だーさんさんの詳しい状況については分かりませんが、日本人であれば歯の形は短足でヘミセクション向きでないことがほとんどですし、治療内容も日本の一般的なレベルかと思います。
まとめると、個人的な推測にはなりますが、ヘミセクションの予後は、外国人が、外国の専門医の特別良い処置を受ければまずまず良いです。
が、日本人がそこら辺で受ける処置としては5年後で50%も残らないのではないでしょうか。
そもそも日本の根管治療の成功率がおそらく50%もありませんし、普段からメインテナンスを受診する人もごく稀、コアもメタルが主流ということを考えれば、5年持てば「ヨシ」・・と言うより「ヨシッ!!」という感じです。
少しでも長く持たせようと思えば(虫歯を避ける為に)当然自費で精密に作ったセラミックのクラウンの方が良いですし、可能なら根管治療の専門医、歯周治療の専門医の治療を受けられた方が良い訳ですが、費用対効果があるかどうかは不明ですね。
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