こんにちは。
いつもながら凄いご質問ですね、お子さんの治療は大丈夫でしたか?
主婦Aさんなら国家試験の問題とかもかなり解けそうな気がしてきますね。。
根管の形態が、元々根尖の孔(=神経の出入り口のこと。これも根っこの先端にはないことが多く、時には2mmぐらい歯冠側にずれてます)から測って、0mm〜ひどいと3mmぐらいまでのどこかに、すごーく狭い・細い場所があるんですね。再狭さく部と言いますが。
これを”天然のバリヤー”と呼び、出来るだけこれを壊さない様に治療を進めます。(敢えて壊す先生もおられます)
何のバリヤーかと言うと汚れた場所(根管)と正常な身体(歯の外)の境界のバリヤーです。いかにも重要ですよね?
で、これをうまく壊さずに治療が済めば、レントゲンには根っこの長さよりも少し短く根充剤が白く写ります。
その場合、他の先生方がご説明された様に(硬組織の有無に関係なく)治療が成功する率が高くなります。
勿論、徹底的な消毒が大前提ですが。
じゃあもしもバリヤーを突き抜けた時はどうなるか分かりますか?
レントゲンでは、根充剤が根っこの長さと同じ長さ(実質突き抜け状態)か、根っこより飛び出て写ります。
その場合、根充剤は歯の外、つまりセメント質よりも飛び出ているのですが、清潔であれば周りには軟らかい瘢痕組織が出来てきて包まれ、これまた治療は成功していきます。
ただ突き出すと、もしもまた問題が起きてきた場合には根充剤の除去が非常に困難になるため、出来れば避けた方がいいですし、何よりも統計的に成功率が落ちるので、あまり嬉しくはない状態ですね。
骨が吸収しているのは、ばい菌が骨を溶かしている訳ではなくて、近所(と言っても根管の中)にばい菌がいることで、骨が自発的に避難している状態です。歯周病も実は同じなのですが。
ですから、原因のばい菌さえいなくなれば、溶けた骨の中を満たしていた膿はまた自然に吸収され、骨が必ず再生します。
歯周病の場合には再生できないのですが、これは構造の違いに由来します。
(歯根膜やセメント質がなくなってしまうからです)
ですので基本的には、再生細胞の元気度?とは関係なくて、どちらかと言えばどうしても多少残ってしまうばい菌を、やっつけられる、あるいは抑え込めるだけの免疫力があるかどうかの方が治療の成否には影響しそうですよね。
と、そんなことも考えながら、今度また根管治療を受けられてみると、楽しい(?)かも知れませんね。
スクリューはほんとは逆向きに回しながら入れるものらしいので、ほんとは外しやすいはずなんですけど、正回転でねじ込む先生が結構いらっしゃいますから、そりゃ取れないし、最悪割れますよね・・
あと因みに、主婦Aさんがおっしゃる通り、動物から培養してセメント質を作ると言われる薬剤がすでにあって、歯周治療の再生療法では用いられることがあります。
”エムドゲイン”と言うお薬です。
興味があればまた調べてみて下さい。
⇒参考:エムドゲイン(エナメルマトリックスデリバティブ)
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