主婦Aさんが今回受けられた治療に関しては問題ないと思いますよ。
たぶんそこまで気にしなくても・・。
で一般的な話としてですが、「ワンステップがテクニカルエラーが少ない」という言い方はちょっと気になります。
僕のイメージとしては逆で、エラーが出やすいのは明らかにワンステップだと思います。
ただしキチンとされていれば臨床的に問題なし。(>今回の主婦Aさんの場合)
といった感じです。
これは以前にも別の回答のときに気になったので、いつもの某社レジン開発担当主任にも尋ねたことがあるのですが、やはり同じ見解でした。
言わばシャンプーとパーマとトリートメントを1回で済まそうとしている様なものですから、メカニズムとしてはかなり無理をしているというのが本当のところだと思います。
参考⇒2級コンポジットレジン充填用ラバーウェッジ
(回答35)
参考論文
・光重合レジンに関する研究 -とくに温度および湿度環境がデンティンプライマーの象牙質接着効果におよぼす影響について- 井上めぐみ 日歯保存誌 38(4):953-960, 1995
・光重合レジンに関する研究 -とくに使用環境条件および被着歯面の湿潤状態がワンステップ接着システムの象牙質接着強さにおよぼす影響について- 日歯保存誌 44(5):733-739, 2001
・環境湿度条件がシングルステップシステムの象牙質強さに及ぼす影響 陸田明智ら 日歯保存誌 49(4):510-515, 2006
でつまり、ワンステップですと、温度は良いのですが湿度に影響を受けやすいです。それと保管方法も(液が不安定で、劣化しやすい)です。
で、更に元々の接着強さが臨床的許容範囲と思われるギリギリのライン(10MPa台)ですから、ビタ一文、これより低下させたくない訳です。
ですからもしも自分がワンステップを使う場合、
・きちんとした保管管理
(冷蔵庫に入れるのか入れないのかよく分からないのですが・・)
・ラバーダム防湿(絶対必須)
・アルコールなどで油分の洗浄
・エッチング(エナメル質がある場合、ない場合で使い分け)
・マニュアル通りの操作(エアー圧、秒数など)
ぐらいはしっかり気にしてやらないと、正直不安です。
逆に言えばこれらをクリアしていれば安心できると思います。
一方のツーステップシステムは、液の働きが独立していてシンプルですから、ひとつひとつの過程に多少のエラーがあっても、他のステップで補える特徴があります。
(これが私も当初は理解しにくかったのですが・・)
更に元々の接着強さに余裕がある(20MPa台)ので、気が楽ですね。
ですから私の場合、
・パパッと終われる充填なら簡易防湿で
・念のためエナメルエッチングも
といった雰囲気なので、ワンステップよりもかえって早いんじゃないかと思います。
それと超重要なのが、同じメーカー(あるいは指定)のボンディング&レジンを組み合わせることです。
これ結構知られてないのですが、相当大事みたいです。
詳しくは書けませんが、カタログ値の接着力よりも、落としてしまう危険がありますので、ワンステップならなおの事心配になります。
ですから今回の主婦Aさんはたぶん心配ありませんが、詳しくない先生のワンステップって結構怖いと思いますよ。
ただ、ボンディングさえ使わない先生も意外と多いとの噂ですから・・何と比べるかにもよるのですが。。。
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