初期のクラックによる症状が出ているのかどうか、の確定診断は自分は物凄く難しいと思っています。
初期だと、その歯を抜いて手で持って一生懸命眺めたとしても分からないようなただの薄い線ですし、問題はその線の有無ではなくてその深さですから、他の可能性を潰しながら最終的には、その線を直視しつつ慎重に慎重に削っていきます。
”線”が途中で消えれば消えたで治療方針も決まってきますし、消えない場合は最悪歯髄(いわゆる神経)まで削って、歯髄を直視して、出血具合だったり血管の様子などを見て歯髄が保存できそうかどうかの判断をします。
歯髄の保存が無理だと判断した場合には抜髄ですが、抜髄しつつもひび割れの範囲や程度を確認して、抜髄で済みそうなのか、いっそ抜歯をした方が良さそうか悩み続けるというようなことをしていきます。
「やりすぎ治療」になっても良いなら話は別ですが、慎重なプロセスを経て必要最小限で精密な処置を、ということだとマイクロスコープなしでは難しいと思います。
何倍もに大きく拡大して見ながら行うということと、その狭い範囲に強い照明が必要ですから、肉眼ではとても無理でしょうしルーペ(ライトをつける方法もありますが、微妙に影が出来やすい)でも厳しい場合があります。
歯の治療に質を求めるのならほとんどの処置について同じことが言えます。
目が悪いとわかっていて、眼鏡をする先生としない先生がいるとするなら、名医かどうかはともかくとしてもとりあえずは眼鏡をしている先生に診てもらえないか検討する、という感じでしょうか。
お米に絵を書くような、そんな面もある仕事です。
一方で、マイクロスコープ自体は近年保険点数がある条件下に限りわずかについた関係もあってか、だいぶ普及はしてきました。
ですが使いこなすのは相変わらずでとても難しく、「眼鏡感覚」で使えている先生となると非常に限られます。
ここで回答されている他の先生(昔からマイクロユーザー率が異常に高いです)と一緒に歯科医師向けの、マイクロスコープ導入セミナーみたいなのを何年か前からお手伝いさせて頂いたりしていますが、数年前だとマイクロを買うかどうかで悩まれてる先生が多かった(と言っても少ないですが)のが、最近は使う先生と使わない先生がはっきり分かれ、使う先生は高確率で2台目3台目も検討中・・みたいなケースが増えてきている様な印象です。
なんだかマイクロ推しみたいな回答になってしまいましたが、抜髄が止むなしならマイクロよりもラバーダムの方が重要なぐらいかも知れません。
どちらもなくてもうまく行くときはうまく行きますし、その場合は「早くて安い」という特典も結果的についてくることもあります。(ケースバイケースかも・・)
ですので何を重視されるかによって選択されれば良いと思いますよ。
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