大体櫻井先生のコメントの通りだと思いますが・・
まずレントゲン写真というのも色々と限界があって、それとそれを撮影して、見る先生の知識や経験、技量等によって診断結果はかなりブレます。
例えばレントゲン写真で一番診断がつきやすいとされる、隣り合う歯と歯の接触点に出来るむし歯でも、ある研究ではむし歯の発見率が50%程度という結果が出ています。
意外に少ないですよね?
レントゲン写真の撮影方法でも、デンタル撮影、パノラマ撮影、CT撮影とあって、CT意外はアナログ撮影とデジタル撮影もあります。
この中だとパノラマ撮影がおそらく最も一般的で、被曝量としても撮影範囲の割に物凄く低いのですが、診断の精度は一番悪い(つまり見落としが多くなる。地図に例えるなら世界地図みたいなもの)ですので、毎日撮影したとしても見えないものは見えません。
むし歯の診断にはCTも向いてなくて、デンタル撮影が一番適しているのですが、放射線を当てる向き、出力、時間、現像方法、現像の温度や液の新鮮さなどの条件(デジタルならPCの設定やモニターの性能等)の様なちょっとしたことの違いで、見え方が全然変わります。
例えば同じ歯でも、同じ日に2回撮影すれば片方ではむし歯に見えて片方ではむし歯がない様に見える、という様なことが普通に起こり得ますので、診断の精度を高くするためには同じ歯の診査に角度を変えて2枚以上撮影するのが本来は推奨されていたりもします。(保険では認められていませんが)
レントゲン撮影は非常に有用で大切な検査方法なのですが、一般の方が想像されるよりも精度はだいぶ低いということです。
あと更にややこしい話になりますが、同じ大きさの同じ状態のむし歯がなんらかの検査で見つかったとしても、患者さんの色々な条件(特に年齢やむし歯、歯周病のリスクなど)によって治療方針は異なることがあります。というか変えるべきですから、診断力、治療方針を立てる能力で歯科医師ごとにかなり大きな幅が出るのはなんとなく理解していただけるのではないかと思います。
ですので、
>半年後ごとにとって欲しかったと思った次第です。
というお気持ちはよく理解できますが、おそらくそれだけだったら結果は同じだったと思いますよ。
1年で5mmも溶けたりは普通しませんから、単純に1年前の診査で発見が出来なかっただけだと思いますし、1年前に分からなかったものが半年前でも診断・治療方針ともに似た様なものだと思います。
健診に通う、という出来るだけのことはうさぎ0606さん自身はしておられた訳ですから、あまり細かいことで後悔しても仕方ない気がしますね。
健診に意味がないのでは? というお気持ちにもなるかも知れませんが、それはやり方次第だと思います。
櫻井先生も指摘された様にそもそも保険で出来ることではないので、保険請求が出来る様な工夫(?)のために多少の無理もあったのかも知れませんね。
客観的に見て本当に無意味な健診を繰り返されてきた気の毒な患者さんも実際よく拝見しますので、治療も大切ですけど健診を本当に任せられるかかりつけ医院というのはくれぐれも慎重に選んで頂きたいものです。
むし歯の発見についてはリスクに応じて間隔を変えて、デンタル撮影も定期的に行った方が良いと思いますし、"視診"も肉眼で行うよりはルーペ、ルーペで行うよりはマイクロスコープでじっくり1本1本診ていった方が発見率は相当高くなります。
洞穴の中を確認するのに、遠くから離れて見ている(肉眼)のと中に入って見ている(ルーペ)のと中に入って物凄く明るいライトで照らして見る(マイクロスコープ)ぐらいの違いがありますね。
当然マイクロスコープを使っても見つけられないとか、覗ききれない様な部位というのもあるのですが、最初から「こういう人はこの歯のこういう場所にむし歯が出来やすいんだよなぁ」という疑いを持って診れるか診れないかでも発見率はだいぶ変わりますね。
自分の感覚だとむし歯についてはマイクロスコープで発見するものがほとんどで、レントゲン撮影は念のため、参考までに、という感じです。
でも撮影する時にはパノラマではなくデンタル撮影でたっぷり多めに撮ります。
毎回の定期健診で歯科医師がじっくりとマイクロスコープ下で確認していくというのはコスト的に難しいことが多いでしょうから、普段対応する歯科衛生士のトレーニングレベルも非常に重要だと思います。
歯科衛生士は法的に"診断"をしてはいけないのですが、歯科医師並みに知識があって、マイクロスコープでチェックが出来る衛生士がいれば理想的ですね。
ただそこまで出来る衛生士は全国的にもまだかなり稀で、マイクロスコープの普及率が実質数%で、それを衛生士が使いこなしているとなると更に数%ぐらい(つまり歯科医院全体の0.0何%ぐらい)でしょうね。
でも今後はそういう方向になっていくだろうと個人的には考えていたりします。
あと長くなったついでにもう一つだけ補足しますが、今回は銀歯の下のむし歯ですよね?
銀歯に段差や隙間がおそらくあったと思うのですが、それがもっと適合が良かったり、あるいは汚れが溜まりやすい銀ではなくてセラミックの様な材料だったり、あるいはそこが危険な部位だと認識していて、普段から念入りにプラークコントロールが出来ていれば結果も多少変わっていたかも知れません。
予防というと定期健診、というイメージが強いかも知れませんが、定期健診というのは良くても「病気の早期発見」だけですから、長持ち"させる"ための精密な治療というのも広い意味では予防に含まれると思います。
さらにはセルフケアのレベルを上げるためのトレーニング、そのレベルを維持するための定期的なチェック、というのが、予防のためには最も大切なことだと思いますよ。
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