保険治療というのは"保険医療機関の指定を受けた医療機関"で、"保険医の登録をしている歯科医師"が行う処置です。
ですので根管治療を自費で行うには基本的に、
@その医院自体が保険医療機関ではない あるいは歯科医師が保険医登録した保険医ではない
A保険医療機関(かつ保険医)であるが、患者希望により今後その医院では保険治療を受ける予定がない
の2パターンしかないと思います。
何故なら保険医のいる保険医療機関では、患者が保険治療を希望した場合には保険治療を懇切丁寧に実施する義務があるからです。
ただしその治療方法が適しているかどうかの判断は保険医の裁量ですから、保険の範囲内(※保険治療には診療報酬、使用可能な材料に制限があります)では無理という判断はあり得ますので、その場合は他の治療法(今回の場合なら自費の根管治療や保険の抜歯?)を勧められる可能性はあるかも知れません。
これいについては後で詳しく書きます。
ですがその場合でも自費の根管治療を希望されるとしたら、ルール上の兼ね合い(「混合診療の禁止」)で、患者が理解した上で最初に挙げたAには該当する必要があります。
お話からすると、@でもAでもなさそうには感じますが・・今回の明細の件も含めてもう一度しっかりと確認をされるか、確認したところでその医院での保険治療での根管治療という選択肢はなさそうですから、保険治療希望であれば転院をされた方が良いかも知れませんね。
>レントゲンを取りますと一言いっただけで、それ以外何の説明もなく、それだけ高額な治療?を行ったことに「お金儲け」と考えても不自然ではないと思います。
についてはその通りですね。
一方で、
>「保険治療では完治できない」は本当でしょうか?
についてですが、保険医であってもなくても、その先生の知識や経験、技術の範囲でそういう判断はあり得ると思いますよ。
自費治療を自由診療とも呼ぶのと同じ様に、保険治療は制限診療という呼び方もあります。
保険診療にはルール・制限が色々とありますので、正しいことが何でも出来る訳ではありません。
話をややこしくしているのには理由があって、根管治療の場合ラバーダムやCT、マイクロスコープ等も含めて保険で使用出来る材料だけでも欧米の専門医が行う様ないわゆる理想とされる処置は確かに行えます。
ただし診療報酬が決まっている為に・・それも欧米の10分の1〜20分の1ぐらいの価格ですが、それで間接的に材料(機器)や時間の制限が出来ているという点が話をややこしくしている様に思います。
保険診療には使用して良い材料と診療報酬の決まりはあるのですが、◯◯分以内や◯◯円以内のコストで行う、という決まりがありません。
つまり指定外の材料を使わずに、赤字でやる分にはどうぞご自由に、というルールになります。
ですのである先生はある処置を赤字覚悟でやるかも知れませんしそれはルール違反でもなんでもないのですが、何か他で利益は上げないと医院経営上立ち行かなくなる訳です。
保険制度は国の社会制度ですが保険医療機関の経営を国から保証までされている訳ではありませんので、一般の企業や商店と同じ様にお金儲けというか、利益を出す必要は当然ながらあります。
話を戻して実質的には、欧米では100分ぐらいで行う根管治療も保険だと材料は同じでも10分ぐらいで行うのが良い悪いは別として妥当とは言えるでしょうし、例えるなら同じ道具を使ってお風呂掃除するのに莫大な時間とお金をかけて専門のトレーニングを積んでいる熟練のプロが100分かけるのと普通の人が10分かけるのが結果が同じな訳がないのは誰でも想像はつくと思います。
ここまでの汚れ具合ならプロじゃなくても十分・・みたいな線引きは確かに難しいとは思いますが、実際問題本当にそういう話に近い様な気もします。
もちろんこれは根管治療の話だけに限りませんが。
それで保険治療なのに「ウチでは(赤字覚悟で)◯◯も◯◯も使います!」とか、「いくらでも時間をかけます!」なんて宣伝を始めたとすればそれは値下げ集客合戦と同じ意味合いですから、社会全体で考えると少し危険な様には思いますね。
700円のランチに、「ウチはコーヒーもつけます」「ウチはデザートも!」「ウチはドリンク飲み放題!」「いやいやウチはドリンクもデザートも好きなだけ!」みたいな・・
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