渡辺です。
過去の回答で儲け主義・・とまでは書いてなかったと思いますが、その様に誤解を招く表現をした覚えはあります。
適切ではありませんでしたね、お詫びいたします。
顎関節症の治療の件については当サイトでは(というかもっと広い範囲で)実は湯浅先生が一番学術的にお詳しいので、補足と言う形で書きます。
よーちんさんのスプリントは、湯浅先生が書かれている様にプラスチックを模型に圧接させて作った物がベースだと思います。
ここまでだとホイワイトニング用のトレーと手間としては変わらず、低コストで簡易に作製できます。
ただ「歯を守る」と言う表現がありましたがその通りで、「顎を守る」と言うより「歯を守る」意味合いの方が強い・・だろうと構造上は想像されます。
と言うのも、プラスチックの板を圧接して作ると全体がほぼ均一な厚みになるのですが、顎は簡単に言えば「チョウバン運動」なので、そのままだと奥歯だけが先に干渉して、前歯には隙間が広く出来てしまいます。
そうすると、必要性はともかくとして顎のスタビライゼーション(安静)が本来の目的なのに、夜中噛み締めた時には正に「奥歯にものが挟まった状態」になって、顎の関節を引き離そうとする悪い力がかかる「はず」です。
この点について、これは個人的な解釈になるかも知れませんが、昔あった「ピボット型スプリント」と同じ様な作用が働く・・つまり現在は米国の学会(たぶん顎関節か顎顔面痛の学会だったと思いますが・・)が唯一適切でないとしている(?ウロ覚えです。)タイプと捉えられるかも知れません。
(※湯浅先生>この辺りご存知でしたら補足願いますm(_ _)m No pivotting!と言うフレーズだけが記憶にあるのですが・・)
こういうことも大概は問題にはならないと思うのですが(特に湯浅先生の様に、同じプラスチック板でもよーちんさんの物よりはるかに薄いタイプ)、こういったタイプのスプリント(以前にも書きましたが一般的だと思います)を使用している場合で、起床時に顎の調子が悪くなるという話だと、ちょっと注意が必要かも・・と思って質問した次第です。
ですがよーちんさんのスプリントの場合、常倍先生もご指摘されている様に、7番に穿孔が見られます。
(※チョウバン運動で、最初に干渉する為)
それと写真で判別しにくいですが、おそらく前歯部に違うプラスチックを盛り足して、厚みを追加している様に思います。
で、
>歯全体に当たっています。
とのことですから、簡易な作りの物に、プラスチックの添加と調整によって、湯浅先生がリンクされた様なきちんとしたスプリントに似せた物・・だと思われます。
7番が穿孔していること自体は問題ありません。
そこも含めてスプリント全体が均等に当たれば良いのですが、、
となると常倍先生のおっしゃる様に、スプリントを外した状態のかみ合わせは顎にやや無理があるのかも・・知れませんね。。
その辺りの細かい調整具合がどうかまではこの情報だけでは分かりませんが、ここまでしてもらえれば十分丁寧だと思いますよ。(※湯浅先生のおっしゃる「前者」です^^)
となればスプリントの作り替えや使い方がどうというよりも、生活習慣(うつぶせ寝、頬杖)の見直しからされた方がまだ効果が期待出来ると思いますよ。
で、もっと「きちんとした」(?)スプリントの場合、更に咬み合う位置を細かく突き詰めていきます。
要は顎にとって一番安静と思われる状態で歯全体が当たる様に作っていきます。
この顎にとって安静と思われる位置・・と言うのに日本の場合色々考えがあるので、先の回答で常倍先生が書かれた「マイオセントリック」などはその中のひとつ、と言うことになります。
臨床的には、スプリントを作製するときに、対の方の歯型も必ず採り、かみ合わせの記録もその先生なりのなんだか凝った感じの方法でされることになります。
因みに私の場合だと「ドーソン法」↓と言って、患者さんを寝かせた状態で力を抜いて貰い、私が両手で下顎を掴んで誘導していきます。
参考⇒顎関節症の治療で、2つの方法を提示され悩んでいます…
更に加えてフェイスボウトランスファー↓なども利用する先生もおられると思います。
参考⇒かみ合わせ・咬合の、歯科界における考え方について
そういう訳でスタビライゼーションタイプのスプリントというのは、顎にとって最も負担の少ない(だろうと思われる)位置で歯全体が咬み合う様に擬似的で理想的なかみ合わせの構築をする方法です。
とは言えこのサイトの解説にもある様に、あまり細かいところまでこだわる必要もないと思われますから
(とは言え患者さん向けにあそこまで書くと有効性が薄れる気がするんですが・・・???>田尾先生)、
個人的な意見としては、よーちんさんのお持ちの物で必要十分だと思いますよ。
山田先生の様に本物の歯でかみ合わせの調整をしていくと言うのもひとつの方法かも知れませんが、山田先生の場合は「パワーセントリック」と言って、実際はかなり凝った調整をされてると思いますよ。
たぶん私が厳密に実践しようと思ったら、おそらく半日ぐらいかかる、難しい調整法です。
それと一説では、歯と歯の間に物を挟むことで、夜中に発揮する最大の筋力が随分低減するという話も一応はあります。
誰のどの方法がいい、ということよりも、担当の先生を信じる気持ちが一番の薬ですから、先の回答でも書きました様に、よく相談しながら進めていって下さいね。
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