岐阜市の歯科医院/歯医者 ノアデンタルクリニック

ノアデンタルクリニック・ホワイトエッセンス

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顎関節症でかみ合わせ(咬合)治療を行うことについて
くまくま さん 女性  37歳
2008-07-27 09:46:27
ご無沙汰しています、お忙しいところ申し訳ありませんがご意見を伺わせてください。

顎関節の治療を行うため二つの歯科医院にいきました。その際、上と下歯の接触についての話しを聞いたのですが、それぞれが違う意見でした。

A医院では、上歯と下歯が軽く接触していないと下顎がどこまで動いていいのか分からず、顎の位置がなかなか定まらないため良くないと言われました。

B医院では、薄い紙が通る位の僅かな隙間があいていた方が良い、理由は接触していると力を入れた際、更にその接触が強くなり炎症などを起こす可能性があるから、という事でした。

一般的にはどのような状態が良しとされているもなのでしょうか?
ご教授いただければ幸いです。

またA医院では「CADIAX」という装置を使って顎運動の解析を行い適切な顎位置の確定していくということだったのですが、この方法について、何か情報をお持ちでしたら何でもいいので教えて下さい。

以上、大変お手数ですがよろしくお願いいたします。
ノア デンタルクリニック・ホワイトエッセンス(岐阜市)の渡辺です。

こんにちは。

うーん・・・確実に回答が割れる話題でお答えしにくいのですが、、、出来る範囲で書きますね。

顎関節症の治療を希望されているのですよね?

>上と下歯の接触についての・・

と言うのは軽く咬んだ時の前歯の話でしょうか?

「ボーッとしている時」
「軽く咬んだ時」
「ギュッと咬んだ時」
「前歯」
奥歯

で話が微妙に変わるので。(すみません、細かくて・・)



で、まず根本的なところからお話しますが、

「顎の調子が悪いから咬み合わせの治療をする」

という行為自体が、

「(世界の)一般的な見解」

として、現在は

「ほぼ否定」

されています。

スプリントは許容されるかも知れないが、咬合(←咬み合わせのこと)調整はダメ」

と言われていますね。

顎関節症の治療としての咬合調整も、かつては頻繁に行われていた行為で、70年代ぐらいまでの教科書では随分と推奨されていた様です。

日本では90年代に入っても(咬み合わせの)専門の学会で言われていたそうで、現在は・・知りませんが、一般的にはそういうことです。



世界の専門家の見解と言うのは、あらゆる研究論文から裏付けられている訳ですが、もう少し一般的な例として、

・(顎関節症は)女性の方が多いが、女性の方が悪い咬合をしているわけでない。

・若年者の方が多いが、高齢者の方が悪い咬合が多い。

・もう研究者は離れている。
(役割が小さいため、咬合の重要性を見ていない)

と言った様な事実からも、

「全くの無関係ではないが、大きな問題ではない(※まだ"論争"はあります)」

という言い方がおそらく現時点で最も「一般的」で、(世界の)顎関節症の専門家は、咬み合わせの重要性を強調はしていません。

因みに今現在最も新しいレビュー(色々なデータをまとめたもの)では、顎関節症の病因を、

・中枢神経性、遺伝的脆弱疾患
・習慣性因子(ストレスに関与)
・精神的因子

などとちょっとよく分からない表現で書かれているのですが、つまり色々な原因の絡み合った多因子性の疾患で、咬合の役割はほとんどない、ということだそうです。

Dental occlusion: a critical reflection on past, present and future concepts.
Türp JC, Greene CS, Strub JR.
J Oral Rehabil. 2008 Jun;35(6):446-53.
論文はこちら


ただし、あくまで現在の一般的な見解の話ですから、20年ぐらい経った時に全く否定されている可能性もあります。

あるいは9割の人には当てはまる話だったとしても、1割ぐらいの人には全く当てはまらない可能性も十分あります(※私個人はそう思っています)ので、あくまで「一般論」と捉えて下さいね。

と言うことでA医院もB医院も山田先生も批判する気は毛頭ありませんが・・^^;
くまくまさんの医院選択の一助として、少し説明を加えたいと思います。



A医院について

>上歯と下歯が軽く接触していないと下顎がどこまで動いていいのか分からず、顎の位置がなかなか定まらないため良くないと言われました。

上歯と下歯が?なので分かりませんが、後でキーワードが出てきましたので、スラビチェック先生の考え方に影響を受けられておられる様です。(たぶん)

参考⇒バイトプレートは上顎・下顎、どちらに装着するか基準はありますか?



B医院について

>薄い紙が通る位の僅かな隙間があいていた方が良い、理由は接触していると力を入れた際、更にその接触が強くなり炎症などを起こす可能性があるから、という事でした。

咬合と歯周病を関連づけて説明しておられる様に感じますし、その様な先生も少なくないのですが、(世界の)一般的な話としては否定出来ると思います。

咬合と歯周病の関係や、その名も「Occlusion(咬合)」と言う超有名な教科書を書かれた(1974年)、咬合調整推進派の超有名な先生の研究論文について、以下の回答で書いてあります。

参考⇒歯肉から排膿がおこるってことは?


些細な違いに感じられるかも知れませんが、歯科医院で歯周病を見つけられた際に、歯ブラシを握らされる(=歯周治療を始められる)か、タービンドリル)を持たれる(=咬合調整を始められる)かの、大きな違いになりかねません。



>一般的にはどのような状態が良しとされているもなのでしょうか?

誰からも異議を唱えられないのは、以下の回答で書いた程度の表現になるかと思います。

参考⇒かみ合わせが良い状態とは?



>A医院では「CADIAX」という装置を使って顎運動の解析を行い適切な顎位置の確定していくということだったのですが、この方法について、何か情報をお持ちでしたら何でもいいので教えて下さい。

スラビチェックと言う先生の提唱する咬合調整・構築に必要(?)とされる機械の名前です。

因みに「CADIAX」と「CADIAX コンパクト」と2種類あるのですが、コンパクトでも目が飛び出る値段、「CADIAX」だと腰が抜けそうな値段がします(※完全に主観です)

参考⇒http://www.hakusui-trading.co.jp/catalog/maker_29.html


そういった設備投資ですから、「咬み合わせ」には並々ならないほど力を入れておられるのは間違いないと思いますよ。

たぶん「CADIAX」だと、私が知る限りでは一番正確に近い、顎の動き(顎関節の細かい形態)の分析が出来ると思います。

(※顎の動き方に個人差があって、その動きと歯の形の不調和から顎関節症が誘発されると、考えられてきました。)

参考⇒かみ合わせを科学的に分析できる機械は、あるのでしょうか


私自身はスラビチェック先生の講義を受けたことも著書を読んだこともありませんのでコメントしない方が良いかも知れませんが、その理論には素晴らしいものがあるそうです。

咬合を(術者にとっての)理想的に構築していくことで顎関節症を含めてあらゆる病気が良くなって行くそうで、おそらくほんの一部の患者さんにとっては素晴らしい方法なのかも知れません。

ただ知る限りでは、その理論に基づいた咬み合わせだったかそうでなかったかによって、5年後どうなった、10年後どうなったと言う比較データを聞いたことがありませんから、費用対効果としてどうだろうと言う疑問は感じます。



咬み合わせの話は混沌としていますからね。。

参考→かみ合わせ・咬合の、歯科界における考え方について


参考までとされて下さい。
お大事にどうぞ。
2008-07-22 20:02:25

この相談の詳細情報
このページは歯チャンネル提供のリンク機能を使用して、原文より一部抜粋したものです。
全ての質問文と回答を見る際は、原文をお読みください。
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