こんにちは。
治療が長引いている様ですね・・そんな予感はしてましたが。
それと凄いマニアスレッドになってますが…
若輩者がおそるおそる参加します。
(泉谷さんお久しぶりです!)
まずはECHANMIさんの抱えておられる問題については、たぶん拝見もしていない不特定多数の歯科医に相談しても、決定打を見つけるのは難しいと思いますよ。
(診断そのものにさえ不合理さがあるかも知れません)
情報量が少なすぎますし、過去のスレッドを拝読した限りでも、実際に拝見したところで判断が難しいケースかと思います。
咬み合わせの治療で解決するのか、情報の少ない第三者的には不安も感じるのですが、と言って代案を出せる状況でさえなさそう。。と言う無責任な発言を許して下さい。。
私もこれから色々な情報を書きはしますけど、現実と理論、科学的な話、噂話、本当かも知れないけど役には立たない話などが私を含めて入り乱れますから、「情報のレベル」と「実際の活用法」については、よく整理整頓されてくださいね^^
参考→二次カリエスを発生させない治療法について(EBMのエビデンスレベル)
さて、気合いを入れていきましょう!(長くなりそう・・)
まず気にしておられるフェイスボウ・トランスファーの必要性についてですが、科学的な答えは「No Evidence」となります。
「科学的根拠がない」、と言う意味ですが、「必要性がない」と言う意味ではありません。
優位性が科学的に証明されていない、証明出来ていない、と言うことで、否定する訳ではないのですが(優位性を)肯定する根拠もない。みたいな。
(ま、まわりくどい・・)
これは過去に有名な専門の先生方が、それまでの科学論文を分析してそう総括されています。
たぶん
Predicted incidence of excursive occlusal errors in common modes of articulator adjustment.
Int J Prosthodont. 2000 Jul-Aug;13(4):303-10.
などなど・・
色々あるはずです。
因みに歯科でEBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づいた医療)の本家!と言えばスウェーデンのイエテボリ大学なのですが、そちらでは確か1997年に、フェイスボウは全て廃棄されたと聞いています。
廃棄されたのは補綴会の伝説、Gunnar E Carlsson現名誉教授と言う世界中の尊敬を集める大変素晴らしい先生なのですが、曰く
【フェイスボウを否定はしないが臨床的優位性はなし】
なのだそうです。
笑顔で廃棄してましたけど・・
因みに私自身はよく使います(笑)
そもそも咬み合わせの概念?についてですが、同教授(補綴の世界では断突の研究実績)曰く
『物事を単純に考えている人と、複雑に考える人の争い』
なのだそうです。
フェイスボウに限らず様々な手法・理論・こだわり?が存在しているのですが、
1990年から1998年に発行された補綴の主要ジャーナル3誌を調べても、科学的と呼べる研究手法(RCT;無作為化比較研究)はたったの2%。
しかもその多くは十分な内容ではなかったとのことです。
補綴・咬合の世界はEvidenceを確立させていくのが得に困難な理由も色々あるのですが、実際咬合に関する教科書は、時代とともに厚みも減少しているとのことで・・。
歯科の世界では「この様に咬合関係を作れば理想的」と考えられる、「理想的咬合関係」と言うのがあります。(それも何通りも・・)
ところが驚くべき事に、「理想的咬合関係」そのものにさえ未だ明確なEvidenceが存在していませんから、ゴールを確認せずにああだこうだと言っているのに近い物がありますよね。
(米国やそれに影響を受けている日本の教科書は、「理想的咬合関係」思想?の影響が大きい気がします。最大の問題は、○○と言う処置をした後、何年後にどうなったかのリサーチがほとんどない点です)
注意して頂きたいのは、最初にも書きました様に、Evidenceがないから意味がない、効果がないと言う事ではないですよ。
それぞれのグループや先生方に主張があって、「○○をしたら患者さんに△△な効果があった!」なんて話は実際たくさんある訳です。
ですからどれだけかの割合の患者さんにとっては、有効かも知れない方法と言うのが何通りも存在する・・と捉えられれば良いのではないかと思いますよ。
おそらく9割以上の患者さんにはシンプルなアプローチ(例えば保険診療の手順に単純に従うなど)で問題は起きないと思います。
手間暇かけてこだわり抜いても同じ結果でしょう。
ですがごく少数の方に関しては、ピンポイントな方法があるのかも知れないと個人的には考えています。
ECHANMIさんがそのどちらのグループに入るのかは私には分かりませんが、その判断は担当医の診断力にかかってくるのかも知れませんね。
歯科医は基本が歯の医者ですから、昔からよく分からないことを何でも咬み合わせのせいにしようとする傾向もあって、いかんともしがたいところです。
私も含まれるのですが、木を見れば釘を打ちたくなる…みたいな。
であれば患者さんにとっては、
色々な手法を調べまくる
↓
それを組み合わせて、先生にそれをして貰う
ではいささか具合が悪いと思いますよ。
ひとつひとつの優位性が不明ですからね。
色々な手法を調べまくる
↓
その知識をもとに、価値観が合いそうな先生か、信用出来そうな先生かを見極めようとする。
疑問があればそれも調べる
↓
信用できそうな先生と決めたら、自覚症状やある程度の希望について十分お話して、後は先生の慣れた方法で任せる。
歯チャンネルなんか見ない!
が現実的な最善の努力かと思いますよ。
(私などが言うまでもなくご理解されてると思いましたが、念のため)
言葉は悪いですが、「信ずる者が救われる」的な話を、議論にしてしまっている様にも思えます。すると決めたら信じましょう。
咬合治療に限った話でもないですが、担当の先生の考え方を理解する参考程度に当サイトのご利用なら良いのですが、使い方を間違えなき様、ご注意下さいね。
良くなるといいですね^^
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